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「ねぇなーちゃん、彼氏さんを僕達に紹介してよ」
そんな僕とミキさんの間に入って来たのがハクちゃんだった。
ハクちゃんはニコニコ…と言うよりも、ニヤニヤしながら頭を撫でられる僕とそれを見ているキョウ君を交互に見た。
何だかその視線が恥ずかしくなり、ミキさんの手から抜け出してキョウ君の腕に縋るように掴んだ。
「うわっ、何この可愛い生き物!僕、なーちゃんならイケるかも…」
「ハク、なーが怯えた表情してるからやめてやれ」
普段は可愛いハクちゃんが男を出すからビックリして肩が震えてしまった。
それにいち早く気付いたのはやっぱりキョウ君で、震えた肩に腕を回されて宥められた。
そして、それに気付いたウメさんがハクちゃんに声を掛けた…と言うことだ。
「あんまりウチの子虐めないでくださいね?この子自分を過小評価するクセがあるので」
「うっ、それ今言う?」
余り自分では過小評価してるとは思ってないけど、いつもキョウ君に言われるから気を付けるようにはしてるが…。
それにしても、さっきの行為でお尻に違和感を感じるんだよね。
初めての感覚だから仕方がないと言えばそうだけど…それ以上に、キョウ君と密着するだけでお尻の奥がキュンとなる。
…僕ってこんなに貪欲だったっけ?
キョウ君に触れられるだけで、さっきの続きを望んでしまう。
抱かれる腕の中からチラッと彼の顔を見る。
「…ん?どうかした?」
「っ、ううん、何でもないっ」
ダメだ、今キョウ君を見ると自分の卑しい気持ちに気付かれそう。
チラッと見たけど直ぐに視線を逸らした。
取り敢えず今は平常心…平常心…。
「彼氏さんカッコいいー!てか、紹介は?」
「あ、ごめん。えっと…紫波桔梗君。部活の先輩でコーチをしてるんです。キョウ君って凄いんですよ?高校生の時にインターハイにも出場するぐらい強いんです!」
「へぇー、何の部活してるんですか?」
「テニスです。まぁ、本格的にやってたのは高校までですけど」
「と言うより、ナナちゃんのテンションの高さに驚くよ」
ミキさんの言葉に「あっ…」と思わず溢れた。
自分でも何でこのテンションなのか分からないからこそ、恥ずかしくなりキョウ君の腕に顔を押し付けて隠す。
クスクスとキョウ君が笑う声が聞こえたが、今は何も言えない。
「今のなーちゃんの方が僕は好きだな…良かったね、自分だけを見てくれる人に出逢えて」
「ハクちゃん…うん」
「紫波さん、なーのことよろしくお願いします」
「任せてください。でも、ここにいる間は皆さんがこの子を守ってやってください」
お願いします、と軽く頭を下げながら頼む姿に胸がギュッと痛んだ。
…自分を曝け出すことが今まで怖かった。
"僕"である所為で人を不幸にしてしまう…ずっと、そう思ってた。
でも、ここにいる人達は"僕"を好きだと言ってくれる。
まだ、自信なんてないけど…これでいいのかもしれないと心の奥底で思った。
いつか…いつか、昔の自分に戻る日が訪れるといいな…。
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