アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
132.
-
その週の土日の部活が終わり、咲夜と話し合うと決めた月曜日がやってきた。
キョウ君には予め、学校近くの某チェーン店のカフェで話すと連絡をしておいた。
「…咲夜、今日って放課後空いてるか?」
「放課後?部活ねぇし何もないけど…」
昼休み、教室で机をくっ付けて昼食を摂っている時に聞いてみた。
平生を保つようにしているけど、内心は心臓が口から出るんじゃないかってぐらい緊張している。
「じゃあさ、ちょっと話したいから俺に時間くれない?」
「何だよ改まって…学校では話せないこと?」
「まぁ…」
「…分かったよ。時間はあるから薺に付き合うよ」
「ありがとう」
ホッとしてお礼を言うと、「何?例の進展の報告か?」とニヤニヤしながら聞いてきた。
例のって言うのは言わずと知れたキョウ君の話で、余り人前で話すことじゃないと分かってくれる咲夜は、断定的なことは言わない。
「さぁね?楽しみにしとけば?」
「うわー、薺が小悪魔化してるよ」
「小悪魔って何だよ」
小悪魔ってアレでしょ?計画的に人を誑かせようとする人。
僕の何処にそんな要素があるんだよ…。
まぁ、気になったとこで感じ方は人それぞれだからいいんだけど。
約束を取り付けたことで幾分か緊張が解れたが、まだまだこれからだ。
昼休みが終わり、5、6限の授業を受けて放課後になった。
僕は今月、掃除当番になっていて咲夜は当番ではないから待って貰った。
「…お待たせっ。行こっか?」
「あぁ。何処で話す?」
「近くの喫茶店でもいい?」
と言うよりも、キョウ君との待ち合わせがそこだから変えられても困るんだけどね。
学校を出る時、キョウ君に「今から学校出るね」と連絡を入れておいた。
大学からここまでバスを使っても30分は掛かる。だから、同じぐらいの時間に終わるとしても、喫茶店に着くのは僕達の方が早いと言うこと。
「そー言えば、最近薺と一緒に帰ること少なかったな」
「…そう、だな…」
目的地に向かう途中の雑談。その話にどう答えるべきか迷ってしまい曖昧な返事になった。
確かに咲夜の言う通り、以前はバイトがなければ部活の後は一緒に帰っていた。
でも、キョウ君と付き合いだしてからは、バイトの日は早く帰るし、キョウ君が来ている時は人目を盗んで一緒に帰っている。
何気ない言葉で気付かされた。
恋人ができたことで友人の存在を蔑ろにしていると…。
咲夜は特に気にした様子で聞いている訳ではないし、僕を責めている訳でもない。
でも、僕の迂闊な行動で彼を傷付けているかもしれないと考えると、申し訳なさで一杯になる。
急に僕が黙り込んだことを問い出さずに、今の沈黙を無理に破ろうとしない咲夜には感謝だ。
…あぁ、キョウ君に早く会いたいな…。
こうやって落ち込むと、無性に彼の温もりを肌で感じたい衝動に駆られた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
133 / 233