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「…お邪魔します…」
「そんな恐る恐るじゃなくても大丈夫。夜までは誰も帰ってこないから」
玄関で戸惑いながらキョウ君の後ろに付いていると、クスクスと笑いながら上がるように促された。
2階建の庭付きで、玄関の先に廊下はないが広々とした玄関にこの先はどうなっているんだろう…。
あれからキョウ君と学校を出て、手を引かれるがままにバスに乗った。
『…ねぇ、キョウ君。何処に向かってるの?』
『俺の家…ナズのハジメテ貰うのに、ラブホじゃ味付けないでしょ?』
比較的空いている車内でも、人はいる訳で…後半部分は耳元で囁かれたが、誰かに聞かれていたら洒落にならない。
辺りをキョロキョロ見渡す僕に、喉の奥で笑うキョウ君。
これからセックスしますって言う恋人同士の雰囲気じゃない気がするが、この際気にしないでおこう。
バスに揺られること15分。キョウ君の家の近くのバス停で降りて5分ぐらいで歩くと目的地に着いた。
ここからだと僕が使っている最寄りの駅と1駅違うだけだ。
そう言えば、付き合うことになった日にホテル街で会った時言ってたっけ?
ここを通るのが家に帰るのに近いって…あれは、電車を使うためだったんだと今なら思う。
そうしてキョウ君の家にやって来て、家の中を隈なく見ることなく2階へと上がり、1つの部屋に通される。
ドアを開けた先に広がるのは、生活感漂う部屋で…シンプルだけど、個性が出ていると思った。
「…ナズ、シャワー浴びて来る?」
「え、あ…そ、そうだねっ、身体ベトベトしてるし…っ」
「っふふ、緊張してるナズ可愛い」
「っキョウ君は、緊張しないの?」
荷物を部屋の隅に置き、部屋の中心で立ちながら話す僕達。
これからのことを考えると、どうも落ち着かなくなるのに、キョウ君は飄々としていて慣れてる感が否めない。
「緊張してるよ?でも、それを表に出していないだけ」
「どうして出さないの?」
「ナズの前ではいつでもカッコよくいたいから」
ニッコリと笑うキョウ君に対して、僕は笑みを浮かべることはなかった。
「え、どうしたの?」と聞かれたから「…僕はカッコよくないキョウ君も見たい」と話す。
「僕はどんなキョウ君でも好きでいる自信があるんだから、偶には弱いキョウ君も見たいってこと忘れないで」
「…ははっ、うん、そうだね。俺もどんなナズでも好きだもんな…じゃあ…」
嬉しそうに笑ったかと思えば、ギラリと目付きが変わり不敵な笑みになる。
えっ…と思った時には遅く、強引に腕を引っ張られてキョウ君の胸にダイブすると、耳元で囁かれた。
「もうナズを抱きたくて仕方がないから、早くシャワー浴びて来い」
普段よりも低い声と乱暴な言い方にキュンとした。
僕はそれに答えるように、キョウ君の胸元を自分の方に引き寄せるとその勢いでキスをして、逃げるように部屋を出て行った。
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