アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
178.
-
暫く宥められるように背中を摩りながら抱き締められていた。
キョウ君とはまた違った安心感に心地よい場所がまた出来たんだな…と嬉しく思う。
「…だから大丈夫って言ったでしょ?」
ふと、キョウ君がそう言うからお母さんから離れて隣を見れば、自信に満ち溢れた瞳に優しい表情をしていた。
「何言ってんの、元はと言えば貴方が前以て白崎君に家族公認だと言っていれば、こんなことにならなかったんじゃない」
「それでもナズは安心しなかったと思うよ。この子、俺達が思ってるよりも自分に自信がないから」
「…そう。なら、それを変えていくのが貴方だと信じておくわ」
「任せてよ、俺、ナズを手放す気はないから」
キョウ君とお母さんは仲良いんだな…と2人の会話を横目で見て感じた。
あんなことがある前、まだ家族の仲が良かった頃でもこんな風に母親と話したことはない。
家族の形って、その家々によって違うけど…羨ましいと思ってしまった。
誰かに気を使うのでもなく、子どもが決めたことには尊重をする。
それは、僕の家族"だった"人達とは出来なかったことだと思うと、哀しくなるのは仕方がない。
「それでこそあの人の息子だわ」
「父さんと母さんの息子ね」
微笑みながらそう言ったお母さんの言葉をキョウ君が訂正するように言う。
それに何処か違和感を感じたが、何かを言うことはなかった。
「…さてと、もう夕飯の時間だけど…白崎君も食べていく?」
「いえ、其処までお世話になるのは…それに、兄弟が家で待っているので」
「そう言えば、今日兄さんは?」
「蓮なら棗君の家でご馳走になるって連絡来てたわよ」
まだ兄さんに返信してないな…と思っていたら、馴染み深い名前がお母さんの口から出て来て「えっ…」と漏らす。
今…蓮と棗って言った?
兄さんと兄さんの恋人の名前と同じ…?
いやいや、まさか…僕が知っている蓮さんがキョウ君のお兄さんだなんて…ない…よね?
グルグル頭で考えていることがややこしくなって、無意識に「えっ、えっ?」と口に出していて…。
「ナズ、どうかした?何か様子おかしいけど…」
と、キョウ君に心配される始末。
同姓同名かもしれない…と考えたが、そんな簡単に男同士で付き合っている人はいない。
それに、今日は蓮さんも一緒にご飯を食べると兄さんから連絡も来ているし…。
これは、間違いないだろう。
「…兄さん、だよ」
「……んっ?」
「棗は僕の兄さん…蓮さんは今、僕の家にいるんだよ」
その事実を口にしたら、キョウ君も「……えっ?」と驚きを隠せなくて、お母さんも「…凄い偶然」と何だか微妙な空気になったのだった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
179 / 233