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衝撃的事実が発覚し、取り敢えず家に帰ろうと思っていたら、「俺も行く」とキョウ君が言った。
つい先日、大切な人を紹介すると言ったけど…展開が早い。
けれど、知ってしまったからには何も知らずに貫き通すことは出来ないし、したくはない。
兄さんからの連絡に返信に、「大切な人と一緒に帰ります」と送った。
「あ、キョウ君の部屋にある鞄を持ってこないと」
「あーいいよ、俺が取りに行ってくるから。まだ身体しんどいでしょ?」
「あー、うん…ありがとう」
正直、いつも通りとは言えないからここは素直に甘えることに。
ポンポンと僕の頭を撫でるとそのまま2階へと上がって行った。
残された僕とお母さんの間に微妙な空気が流れたが、それを払拭するようにお母さんが話し出す。
「…白崎君も蓮のことは知ってるのね」
「はい…多分、付き合い出して直ぐぐらいに蓮さんがウチに挨拶に来たので…兄を大切にしてくれる、いい人です」
「私達も2人で挨拶に来て聞かされたわ…かなりビックリしたけど2人が幸せなら好きにしなさいって言っておいたの」
ソファに座り直したお母さんが、隣をポンッと叩いて「こっちに座りなさい」と合図されたから、遠慮がちにお母さんの隣に座る。
「まさか、弟同士、兄同士で付き合うことになるとは思いもしなかったけど…まぁ、大切な人が出来たことは喜ばしいことだから性別なんて気にしないけど」
「…ごめんなさい」
「ん?それは何の謝罪?」
「…本当は手を伸ばしたらいけなかったんです。キョウ君は俺と違って恋愛対象は女性…結婚も子孫を残すことも俺と出逢わなければ叶うことだったから」
つい口を開けば少し前まで心の奥底に仕舞っていた気持ちが吐露してしまう。
言った後に、「しまった」と思った。
お母さんは僕達の関係を認めてくれたのに、自分に自信がないことを言ってガッカリさせたかもしれない。
何を言われるのか怖くなり、膝の上で握り拳を作って顔を俯かせる。
「…貴方が言うように、この先2人が一緒にいるなら結婚とか子どもとかは諦めなければいけないことね」
「……っ」
「でも、結婚=幸せとは限らないわよ」
「……ぁ」
「人生結婚と子どもが全てじゃない。結婚出来なくても、本気で愛した人と一緒に居られることが一番の幸せなんじゃない?」
僕の手をそっと包み込みながら言われる。
そして、その言葉には聞き覚えがあった。キョウ君と付き合うことになった日に言われたことを思い出し、グッと唇を噛み締める。
…顔は似てないけど、この2人は確かに親子だ。
そう思わされた瞬間だ。
「っありがとうございます。俺がブレちゃいけませんね…」
「貴方がブレてもそれを正してくれる人がいる。それに、先に手を伸ばしたのが桔梗の方なら、あの子をたくさん困らせて自信を付けたらいい」
「…お母さん」
「ふふっ、棗君と同じように呼ぶのね。可愛い息子が増えたみたいで嬉しいわ」
「あっ…」
「改めて、桔梗のことをよろしくね、薺君」
笑ってそう言われ「はいっ!」と答える。
きっとこれからも、弱音は吐かないと決めても言ってしまう時があるだろう。
その時は、きっとキョウ君が全部受け止めてくれるだろうから、一杯困らせて彼の隣で強くなって行こう、と決めた。
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