アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
193.
-
兄弟と打ち解け合い、キョウ君と蓮さんが兄弟だと知った日から2週間の歳月が経った。
徐々に兄弟との距離は縮めて行けばいいと思っていたが、2人が余りにもあの頃と変わらず接して来るものだから、2週間足らずで"仲の良い兄弟"が確立された。
そして、7月も下旬に差し掛かろうとしていたある日、いつものように昼休みを咲夜と過ごしていた。
「…なぁ薺、あの人とどっか行ったりしてる?」
「え、キョウ君と?んーどっか…ね」
2人で机を合わせて咲夜は弁当を、僕はコンビニで買ったおにぎりを頬張っている時に質問された。
教室では幾つかの島に分かれて友達同士昼食を摂っている。
幸いにも、僕達の周りには丁度人がいないから気にせず話が出来る。
咲夜の質問を考えてみる。
そう言われればキョウ君と一緒に過ごす時間は部活の時を入れれば長い。
けれど、何をするかはパターンが決まっていて…「ルピナス」で過ごすか、eryngoに遊びに来るか…ぐらいだ。
「ないかな?僕もキョウ君も一緒に居られれば充分だからね」
「…はい、惚気ごちそうさまでした」
「えっ、惚気たつもりないよっ」
わざわざ箸を置いて手を合わせて言うものだから、慌てて言い返す。
咲夜は小声で「…これが、リア充爆発しろと言うことか…」とボソッと言った。
リア充…そっかぁ、今の僕の状況ってその言葉に当て嵌まるのか。
惚気のつもりはないと思っていたが、キョウ君のことを考えるとつい顔が緩んでしまう。
「…その顔は、あの人のことを考えているな?」
「ふぇっ!?そ、そんなことは…っ」
「はいはい、独り身には辛い話だとは思ってないから気にしないで」
ツンとしながら箸を再び持ち直し、弁当に入ってる卵焼きを心なしかブスッと刺して食べた。
コラコラ、刺し箸は行儀が悪いよ…と心の中でツッコミながらもそれは口に出さない。
これ以上何か言うと咲夜の機嫌を損ねるかもしれないからね。
以前まではこう言うやり取りをすることが出来なかった。
それは、僕が自分を偽っていたこともあるけど、その言葉を真面目に受け取ってしまうからだった。
でも今は違う。キョウ君が友達同士ならこう言う冗談を言い合うんだと教えてくれたから。
だから、今の咲夜の態度が本気ではないと分かる。
「咲夜もカッコいいんだから、恋人作ればいいのに」
「俺はいいんだよ。今は部活が一番だからな…てか、"も"が付く時点で薺がいつでも紫波さん主義だと改めて実感した」
「だって…キョウ君が一番カッコいいもん」
「…何だろう…薺が"もん"って言っても違和感ない」
一体何が言いたいのかよく分からなくて首を傾げる。
まぁ、どう言うこと?って聞いても詳しくは教えてくれなさそうだから何も聞かないことにした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
194 / 233