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それからも練習は部長や副部長の指示の下続き、時間一杯徹した。
夏のこの季節の部活は陽が落ちるのが遅いから6時半まで出来る。
まぁ、僕にとっては困ることで…バイトが7時から入れないから少しズラして7時半から入っている。
それでも時間ギリギリで、一度家に帰って服を着替えなければいけないからバタバタだ。
「あ…そう言えば…」
「ん?どうかした?」
「いや、何でもない」
今は丁度部活が終わり、体操服から制服に着替え途中で隣にいる咲夜に聞き返された。
声に出してしまって重要なことを忘れていたことに気付く。
…兄ちゃん達にバイトこと話すの忘れてた。
あの話があった日に話そうと思っていたのに、そこまで気が回らなかったんだよね。
…うん、言い訳にしか聞こえない。
バイトをしていることは話したけど、どんなバイトをしているのか詳しいことは言ってなくて…。
言った方がいいよね?夜のバイトは違法だけど家族には話しておかないと。
丁度今日はバイトがない日で家でゆっくり出来ることだし、その時に話すか。
「なぁなぁ、今度花火大会があるじゃん?」
「あーあるな。俺地元はこの辺じゃねぇから詳しく知らねぇけど」
話そう…と自分の心の中で決めていたら、近くから5人ぐらいで話している後輩達の話が耳に入った。
花火大会…そっか、そんな時期か。
話してる人達の方は見ずに、耳をそばだてて続きを聞く。
「2週連続であるから、どっちか行かねぇ?」
「いいな!昼からこっちで遊んだ方がいいか?」
「夕方になると電車混みそうだもんな…」
「じゃあ、詳しいことはまた決めようぜ」
そんな会話を聞きながら僕の頭の中は『キョウ君と花火大会に行きたい』の想いで埋め尽くされていた。
お互いに忙しいからかデートと言うデートをしたことがない。
それに対して不満はないし、キョウ君と一緒に居られるのなら場所は問わないから、デートをしたことがなくとも気にはならない。
でもやっぱり、何か想い出が欲しいとは思っている。
それは、離れる時の為の思い出作りではなくて、ただ単純に、キョウ君との思い出をたくさん作りたい。
あんなことがあったね、こんなこともあったよね、と大人になった時に2人で思い出話を咲かせてみたい。
その為には、花火大会に誘わなきゃいけないのだけれども…。
「…はぁー」
「今度は溜息か。忙しいな」
「あーんー…」
8月の上旬までは大学があるキョウ君を誘ってもいいものなのか、迷いどころだ。
いつから休みになるのか正確なことは聞いてないが、どうやら単位に関わる期末のテストやレポート課題があるらしく、忙しくなるとか言っていた。
果たして、そんな状況の中で誘っていいのか…誘ったとしても、断られたらかなり凹むと思う。否、絶対に凹む。
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