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199.
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少しお喋りを楽しんでいたら、あっという間にそれぞれの帰路に着くための分かれ道に差し掛かり、また明日、と挨拶をして別れる。
家に帰ると兄ちゃんも柊も居た。
「ただいま。今日のご飯は何にするの?」
「お帰り。オムライスにしようかと思ってるけど…一緒に作る?」
リビングで寛いでいる兄ちゃんは、ソファから立ち上がり僕の顔を見ながら言う。
そう言えば以前、一緒に料理を作ろうとしたが母親が帰ってきたことで延期になったことを思い出した。
あの時も僕のオムライスを作ることになっていたな…と思い、「うん、作るよ」と答えて着替えの為に自室に向かった…。
部屋着に着替えてキッチンに向かう為に部屋を出た所で、先に帰っていた柊と廊下で会い、2人で下に降りて行く。
僕は兄ちゃんとキッチンに、柊はダイニングで僕達は料理を、柊はテーブルに座ってスマホを弄る。
ピーマンや人参、玉ねぎ、ウインナーを細かく刻んで中華鍋で炒める。そして、ケチャップで味付けをしてからご飯を入れて具材と絡ませる。
こうすることで、ご飯のべちょべちょ感をなくすんだって。
出来上がったご飯の方を底が深い丸い器に詰めてそれを皿に乗せると、今度は卵をオムレツ風に作りご飯の上に乗せる。
そして、ナイフで真ん中を切りご飯に被せるように広げれば白崎家特製オムライスの出来上がりだ。
それに野菜サラダとスープを付けて夕ご飯の完成。
昔から兄ちゃんの作る料理はどれも好きだけど、このオムライスがいちばんの好物だ。
3人で席に着いて「いただきます」と手を合わせて言ってから、至福の時を堪能したのだった。
「…ごちそうさまでした」
『お粗末様でした』
あっという間に食事は終わり、柊が手を合わせて言ったのに対して僕と兄ちゃんの声が重なる。
びっくりして互いの顔を見合うと、クスッと笑みが零れた。
今こうして兄弟仲良くいられることが夢のようだと、ここ最近毎日思う。
嬉しくてずっと顔がにやけていたらしく、柊に「ナズ兄、顔が緩み過ぎてるよ」と言われ両手で顔を隠すように覆う。
うわっ、恥ずかしい!
それでも、隠した手の下で口元が緩んでしまうのは仕方がないことだ。
幸せだな…と思っていた時、そう言えば今日は2人に話すことがあったことを思い出した。
「…そうだ、兄ちゃんと柊に話しておきたいことがあったんだ」
「ん、何?」
「えっと、僕のバイトのことなんだけど…」
そう言えば、2人は何処となく嬉しそうに笑いながら続きを催促して来る。
その笑みの意味は分からなかったが、聞いた所ではぐらかされるだろうと予測して続きを話す。
「実は、夜のお仕事をしてて…」
「ちょっと待って!夜のお仕事?え、それって水商売ってこと!?」
僕の話に真っ先に反応したのは意外にも柊で…あ、出だし失敗した、と思った。
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