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合否 Ⅱ〜side佑吾〜
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名前を呼ばれて振り返ると
学生時代の恩師が 口を開けて立っていた
「先生‼︎ お久ぶりです」
古文担当の先生は 相変わらずの黒縁眼鏡を掛けて
後頭部を掻いている
変わらない姿に 何だか妙にホッとしてしまう
「おー 久しぶり 今日はどうしたんだ⁇」
「この子の合格発表の付き添いです
4月からよろしくお願いします」
「ん⁇ 何だお前 もう一人弟いたのか⁇
コッチは 随分似てないな」
ジッと見つめられて 創が困っているのが分かり
細い肩を グイッと抱き寄せた
「弟じゃないですよ 俺の番相手です」
「え⁉︎ あ そうなのか⁉︎」
先生に上から下まで見られたからなのか
俺の発言を受けてなのか
創は耳まで真っ赤にして俯いている
もし俺の所為なんだとしたら 申し訳ないと思うのに
今の俺は 世界中の人に創を見せびらかしたい気分で
そこを気遣ってやれる余裕が無かった
「あ 先生 相談なんですけど この子紫外線に弱くて…
体育とか 少し考慮して頂けると有難いんですが」
「ん⁇ ああ
そういう事なら確かそういう書類があると思ったが…」
先生が顎に手を当てて考える仕草を取った時
目の前から蓮が歩いて来るのが見えて
目が合ったと思った俺は 片手を上げた
「あ 受かった⁇」
「ああ 春からよろしくな」
その聞き方で もし落ちてたらどうするつもりなんだろう
まぁ 校舎の中にいる時点で 悟ったんだろうけど
「そう おめでとう コレ 受かってたら必要でしょ⁇」
そう言ってクリアファイルを差し出されて受け取ると
中には 地毛申請書と病状説明書類が入っていた
「ああ‼︎ 悪い 助かる」
「片方は ぽいのがそれしか無くて…
気分悪くしたらゴメン」
「いや ありがとな」
俺達のやり取りを うんうんと聞いていた先生は
蓮の背中を バシバシと叩いた
「いや 流石 生徒会長だな‼︎ 仕事が早い‼︎」
「いえ 別に…ていうか痛いです」
褒められても 相変わらずニコリともしない
そんな蓮は創の方を見たかと思うと頭にポンと手を置いた
「おめでとう 頑張ったな」
「…あ…ありがとうございます…」
…ん⁇
なんか… 創が蓮に 見惚れている様に見えるんだけど…
顔はさっきから赤いにしても
少しうっとりした様なその表情に 口角が引き攣る
「じゃあ 俺はこれで」
そんな事気にも留めていないであろう蓮は
颯爽とこの場を去っていった
そんな蓮の後ろ姿を ジッと見つめる創に
今まで芽生えた事のない感情が 芽生え始めていた
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