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入学式
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「おお‼︎ 似合う似合う‼︎」
「ほ 本当⁇」
遂にやって来た入学式
僕はこの前の蓮さんや
アルバムの中の佑吾と同じ服に身を包んでいた
薄いブルーのYシャツに赤いネクタイ
キャメル色のベストと白いブレザー
グレーのチェックパンツ
鏡に映る自分は とても新鮮だった
「忘れ物ない⁇」
「うん」
スクールバッグを肩に掛けて 佑吾の後に着いて行くと
外では 佐倉さんが にこやかに迎えてくれた
「おはようございます」
「おはよう 佐倉」
「お おはようございます」
学校に向かう車内では ずっとドキドキしていた
佑吾や佐倉さんが何か話してくれた気がするけど
全然覚えていない
校門の前に着いたのを確認して 何度か深呼吸をした
「大丈夫か⁇ 何かあったら 直ぐ連絡するんだぞ⁇」
「…はい」
ギュッと鞄を握り直した時 窓がコンコンと叩かれた
振り返ると蓮さんが居て心の底からホッとするのを感じた
「蓮さん‼︎」
「おはよう クラスA組だった 案内するからおいで」
その言葉に 心細さが解消されて 涙腺が緩む
「あ ありがとうございます…」
「悪いな 蓮 よろしく頼む」
「うん…佐倉 おはよう」
ドアを開けると 蓮さんは中を覗き込み
振り返った佐倉さんは 小さく頭を下げた
「蓮様 おはようございます」
見上げた先の蓮さんは 表情は変わらないのに
どこか嬉しそうに見えた
「じゃ 行こっか」
「あ はい‼︎ 行ってきます」
「行ってらっしゃい」
車を降りて手を振ると 佑吾も振り返してくれた
何だか ちょっとだけ寂しい…
送り出す時とまた違う風に感じるのは
僕が今 不安でいっぱいだからなのかな…
走り出した車を見送ると
蓮さんに手招きされて 後に着いて行った
校門を潜れば沢山の人が居て
すれ違う人は 驚いた様な顔で僕を見ている
その視線は とても居心地が悪くて
体を縮こませながら 蓮さんに続いて校舎に入った
「創 こっち」
「はい…」
下駄箱の向こうにいた蓮さんに
小走りで駆け寄った時だった
高くて明るい声が 昇降口に響き渡った
「レンレーン‼︎ この忙しいのに何処行ってたの⁉︎
捜したよ‼︎」
「倉橋」
蓮さんの背中のブレザーを掴んだ人は
ピンクがかったふわふわの茶髪と
同じ色の瞳をした猫目が印象的な
すごく可愛らしい人だった
背も 僕と殆ど変わらない様に見える
「悪い この子クラスに送ったら直ぐ戻る」
「この子⁇」
蓮さんが僕の頭にポンと手を置いた為
ヒョコッと身を乗り出して 僕を見た
ジッと見つめられて ドキッと心臓が跳ねる
「この前話しただろ 兄さんの」
「ああ‼︎ この子がそうなの⁉︎ 佑吾さん面食いだね〜」
どんな反応をしたら良いのか分からなくて
あわあわしていると ニコッと笑いかけてくれた
その笑顔は
周りに花でも飛ばしそうな程可憐な雰囲気を纏っていて
無意識に見惚れてしまっていた
「初めまして 倉橋 理央(くらはし りお)です」
「あ… く 鞍月 創です」
「創っていうの⁇ よろしく あのね…」
理央さんはテテッと僕の側に来ると
口に手を当て 僕の耳元でこう囁いた
「僕もΩだから 何かあったらお互い協力し合おうね」
その言葉もすごく嬉しかったし
至近距離で拝む理央さんは 妖精さんの様に可愛くて
何だか恥ずかしくなってしまい 首を何度も縦に動かした
「でも良いな〜 佑吾さんと番なんて 羨ましい」
「あ…ま まだなってないんです…」
「そうなの⁇ でも一緒に暮らしてるんでしょ⁇」
「はい…あの…」
「父さんとの約束で 創が16になるまで待ってるんだよ」
「そうなんだ 誕生日いつなの⁇」
「く 9月です…」
「なぁんだ あと半年もないじゃん 楽しみだね」
「…はい」
改めて人に言われてると とても恥ずかしくて
思わず俯いてしまった
「良いな〜 良いな〜 僕も レンレンと番になりたぁい」
その言葉に顔を上げると
理央さんは 蓮さんの服の裾を引っ張って
頬を膨らませていた
「お前それ中等部の頃から言ってるけどよく飽きないな」
蓮さんは 短く息を吐くと 理央さんの頭を軽く撫でた
蓮さんの手があった場所を
切なそうな顔で触れる理央さんは
今にも泣いてしまうんじゃないかと思う様な表情をしていた
「…だって ずっと本気だもん」
小さい声でそんな風に呟く姿に
数ヶ月前の自分が 重なって見えた様な気がした
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