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入学式 Ⅲ
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蓮さんに言われた通り
席を確認して 廊下側の一番後ろの席に座った
突き刺さる様な視線に
胃の辺りが気持ち悪くなっていくのが分かる
さっきまで一緒に居てくれた二人を思い出して
心細さに泣きそうになっていると
明るくて大きな声が 頭上から降ってきた
「なぁなぁ‼︎ その髪地毛⁉︎」
ビックリして顔を上げると
目の前にはヘーゼルナッツの様な髪色と目をした男の子が居た
髪は下の方がすごく短くて 上の方はツンツンしている
目はツリ目がちで 笑顔の隙間から八重歯が覗いて見えた
キラキラした眼差しが眩しい
「…え…あ…じ 地毛です…」
俯きながらそう答えると 更に大きな声が響いた
「マジで⁉︎ どっかとのハーフ⁇」
「ち 違うんです…あの…僕…あ…アルビノっていう…」
「え⁇ 何⁇」
「…あ」
僕の声が小さかったからだろう
聞き直された事で 体中から嫌な汗が滲んで
言葉に詰まってしまった
『何で髪の毛そんな色なのー⁇』
『変なの… コッチ来んなよ』
髪を掴まれたり 体を押されたり
鮮明な過去の記憶に ギュッとズボンを握った
駄目だ…やっていける気がしない…
「まっ 何でもいっか 俺 祖父ちゃんがイギリス人なんだ
だからこんな髪と目の色してんの
俺達 色素薄い仲間だな‼︎」
泣きそうになっている僕の頭上から響いた声に
何度か瞬きを繰り返した
そろりと顔を上げると ニカッと笑った彼は
僕の前に 手を差し出してくれた
「俺 日向 健(ひゅうが たける) よろしく」
「あ… く 鞍月 創です」
「創⁇
てかクラスメイトなんだから 敬語使わなくて良いよ
俺の事も 普通に健って呼べよ」
「…た 健⁇」
「おう‼︎」
僕が健の手を握るとクラスにいた他の人から声が上がった
「健ー‼︎ 何話しかけてんだよ‼︎」
「何だよ
お前らも創の事 可愛いとか人形みたいとか言ってたじゃん
こっち来れば⁇」
「…う…おお…」
健の一言で クラスの人が 僕の周りに集まって来て
咄嗟にビクついてしまった
「悪い悪い コイツら全員中等部からの持ち上がりなんだ
皆良い奴だから」
「…う うん」
その後 会話の流れで 僕の体質の話も出来た
その事に皆が
「大変だな」「何かあったら言えよ」
なんて 優しい言葉をかけてくれるから
さっきとは違った意味で 泣きそうになってしまった
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