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軽薄
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「そういえば 創って何か部活入るのか⁇」
「え⁇ 部活⁇」
お昼休み
向かい合っていた健にそんな質問をされて僕は首を傾げた
「…考えてなかった 健は何かやるの⁇」
「俺 ずっと空手やってるから 空手部入る
中等部の時からそうだし」
「そうなんだ…僕は 多分何もやらないかな…」
昔から運動は あまり得意では無かった
外に長時間いる事は難しいし
この3年間で 筋力は更に落ちてしまった様に感じていた
それに 部活をやって長く学校にいるより
早く家に帰って 佑吾と一緒に居たかった
「そっか まぁ 部活は やらない人も多いからな
うち 進学校だし」
「なんだ日向 お前高等部で 空手やんねぇの⁇」
いきなり後ろから声がして ビクッと肩が震えた
振り返った先には ドアに凭れ掛かりながら
モデルの様な立ち方をしている人がいて
何度か瞬きを繰り返してしまった
長めの茶髪と 同じ色の瞳
下がった目尻の先には 泣き黒子がある
ネクタイもしていない着崩した制服が
少し軽薄な印象を受けて 無意識に身体が縮こまっていく
「榎戸先輩‼︎」
「よう 久しぶりだな」
健は立ち上がると その人の側まで 歩み寄って行く
健の知り合いなら 悪い人じゃないのかな⁇
そう思うと 身体の緊張が少し和らいだ
「勿論 やりますよ 今のは コイツの話です
もしかして わざわざ俺の勧誘に来てくれたんですか⁇」
「いや 入学式で噂になった
1年A組の天使ちゃんを見に来たの
そしたら お前が居たからさ」
「天使ちゃん⁇」
健が首を傾げるとその先輩が僕の事をジッと見つめてきて
咄嗟に直ぐ目の前にいた健のセーターの裾を握った
「金髪で青い瞳に真っ白な肌
噂の天使ちゃんって 君だよね⁇」
「え…⁇ ち 違います…」
グッと近寄られて 居心地が悪い
そんな僕を察してなのか
健が僕と先輩の前に 大きな手をニュッと出してくれた
「先輩 駄目ですよ
創は 桃坂 佑吾さんと恋人なんですから」
「え⁇ そうなの⁇
桃坂先輩のお気に入りらしいとは聞いてたけど
兄貴の方⁇ ふ〜ん…」
何か含んだ様な物言いと目線に 顔が上げられない
早く居なくなって欲しくて ギュッと目を瞑った
「まっ それはそれで好都合か
俺 天使ちゃんの事 気に入っちゃたからさ〜」
先輩は健の腕を退けると 僕の事を見て ニッと笑った
「俺と付き合ってよ」
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