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魅了 Ⅱ
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「むぐ⁉︎ ううう⁉︎」
薄暗い教室の中で 不恰好な声が漏れる
手足を動かして抵抗しようとしても
両側から押さえつけられてしまい ビクともしない
「やっと 一人になってくれた」
「桃坂とか空手部の一年とか 本当邪魔だったからな」
「あ〜 近くで見ても 本当可愛い…♡」
蓮さんや健の呼び方から察するに
先輩らしいという事は分かっても
どうして僕にこんな事をするのかが分からなくて
じわりと涙が滲んだ
恐いよ… 助けて 佑吾…
「ヤバイ 泣いてる顔 めっちゃ興奮する…」
「ああ…唇も柔らか…」
僕の口を押さえていた人が 指を口の中に入れてきたり
唇をはさんだりして 気持ち悪い
暗闇に目が慣れてくると 人が四人程居るのが判った
でも どの人も知らない人
それが余計に恐くて 足がガクガクした
「早く脱がそうぜ」
その言葉を皮切りに ブレザーが抜き取られ
ベストが捲り上げられると
あっという間にYシャツが肌蹴ていく
わっと言う歓声が上がって 勝手に身体全体が震え出した
「スゲェ‼︎ 乳首めっちゃピンク‼︎」
「てか白‼︎ 作り物みてぇ…」
脇腹の辺りや 胸の先を触られながら
手が上の方で縛られてしまい 動きがまた制限されていく
流石にこんな大勢の人に 一気に触られた経験は無くて
恐怖からしゃくり上げてしまった
「そんな泣かなくても 大人しくしてたら
痛い事しないからさ…ね⁇」
「そうそう あ…
桃坂にチクられるのは困るから 写真だけ撮らせてね」
正面に居た人に携帯を向けられて 固く目を閉じた
また…僕は汚れてしまうんだ…
カシャッというシャッター音に 絶望を感じた時だった
「は〜い
強姦で訴えられたく無かったら その子離して下さ〜い」
明るい調子の声は どこか聞き覚えのある声色で
恐る恐る目を開けると
携帯を構えていた人の後ろの机の上に
昨日会った健の先輩が
ニンマリと笑顔を携えて 手を振っていた
「ゲ‼︎ 榎戸‼︎」
「ヤバ…」
僕を押さえつけていた力が緩んでいく
それでも 妙な緊迫感があるこの空気に
冷や汗が止まらなかった
「ほら 離して下さいよ
じゃないと 早急に生徒会で議題にしますよ⁇
それとも 今から俺と殴り合いでもします⁇」
「わ 分かったから‼︎」
縛られた腕が解かれたのとほぼ同時位に
僕を拘束していた人達は バタバタと出て行ってしまった
それでも足に力は入らないし 体の震えは止まらなかった
「大丈夫⁇ だから危ないって言ったのに…」
先輩が僕の側に来て ビクッと体が跳ねた
お礼を言わなきゃいけないのに
頭が真っ白で 一言も喋れない
兎に角この格好を何とかしたくて
ボタンを留めようとするも
手の震えが酷くて 一個もボタンホールに入らなかった
「貸して⁇」
そんな僕を見兼ねてなのか
先輩は丁寧に僕の制服を整えてくれて
未だに思考回路の追い付かない僕は
されるがままになっていた
ブレザーを着せてもらった後
先輩は僕の目元を 自分のセーターの袖で拭いてくれた
その行為をされて 初めてまだ泣いていた事に気がついた
「…あ…あの…ごめんなさい…ありがとうございます…」
「ん〜 全然良いんだけどさ
今回は 本当に偶々俺がここでサボッてたから 助けてあげられたけど
次は分からないよ⁇
ああいうタイプの人達は 桃坂先輩の名前もあんま効力無いし」
そんな事言われても 佑吾に少しでも釣り合う為には
ここに居なくてはいけない
「…でも…絶対卒業しなきゃいけないので…」
「うん だからさ」
先輩が僕の両頬に手を添えたかと思うと
顔を上向きにさせられた
おかげで先輩の茶色の瞳に真っ直ぐ見つめられて
思わず視線を横に外してしまった
「俺と付き合おうよ 良いじゃん学校内でくらい
色んなα試すつもりでさ」
「…他の…α⁇」
「そ」
先輩の笑顔からは 悪気なんて微塵も感じなくて
とても綺麗に見えた
その顔を見ながら ここ数年の記憶が
走馬灯の様に思い起こされて また目元が熱くなった
佑吾は優しい そして美しい
だからこそ 抱かれてる時も ふとした時も どうしても考えてしまう
何も知らない されてない
そんな真っ白な状態で巡り逢えてたら
どんなに良かったか
「天使ちゃん⁇」
先輩の呼び掛けに 思わず口角が上がった
だって僕は 天使なんかじゃない
ドロドロに汚れていたのを佑吾が丁寧に拭いてくれただけ
本当に…ただ それだけ…
きっとこびり付いたモノは まだ染み付いている
今日で またソレを実感してしまった
「…そんなの…嫌って程知ってます…」
少し遅れて出た問い掛けの答えに
先輩は目を見開いて僕を見ていた
それと同時に 僕の頬がまた濡れ始めて
先輩の手を汚していった
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