アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
憂患
-
自己嫌悪に押し潰されそうになりながら仕事をしていると
デスクの上に置いていた携帯が震えた
発信元は蓮で珍しいなと思いながら通話のボタンを押した
「もしもし 蓮⁇」
ここまで言った時
佐倉の方から物音がして 思わず目を向けると
珍しく書類を 床にばら撒いていた
「も 申し訳ございません 手が滑ってしまいまして…」
そそくさと片付けている姿に 流石だなと感心していると
電話の向こうの蓮に『ねぇ 聞いてる⁇』と注意されてしまった
「あ 悪い 何⁇」
『だから 創の様子がちょっと変だから
時間出来た時に 迎えに来てやって欲しいんだけど』
「変って…どうしたんだ⁉︎」
今朝の様子を思い浮かべたら 居ても立っても居られず
咄嗟に立ち上がってしまった
『俺にも分からない
昇降口で踞ってたのを 保健室に運んだだけだし…
何か…ちょっとパニックになってる感じだった』
「…パニック」
その創の姿は 何度か見ているが 何故学校で…⁇
昨日の事が 原因なのか…⁇
『俺の事 兄さんだと思ったみたいだよ
早くちゃんと 本物が抱き締めてあげなよ』
「…ああ……ん⁇」
本物が…⁇
「…蓮…お前…」
『不可抗力だから
そうしないと落ち着かなそうだったから そうしただけ』
俺が聞きたかった事を察知したのか
蓮に早口でまくし立てられて グッと言葉を飲み込んだ
まぁ でも 俺に抱き着きたい衝動に駆られたという事は
家での事が問題では無いようでその点だけは少し安心した
『じゃあ よろしく 創の担任には 俺から言っておくから』
「ああ わざわざ悪かったな」
蓮との通話を終了させ 佐倉に事情を説明すると
昼過ぎ位なら行けそうだという話になり
念の為 蓮にもその旨を伝えておいた
「…創」
何があったのか 今度はきちんと話を聞こう
そして 早くこの腕に 創を抱き締めたい
そんな思いに駆られながら
目の前に置かれた書類に 手を伸ばした
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
221 / 365