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深意 Ⅳ〜side佑吾〜
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「佑吾さん コレ」
創が鞄を取りに行くというので 昇降口で待っていると
榎戸君から 一枚の写真を渡された
「何かな⁇」
監視カメラの映像らしいその写真には
一人の男が写っていたが見覚えの無い姿に俺は首を捻った
「うちの学校の周りウロついてた奴で創のパニックの原因
なんか 創の事探してたみたい」
「え⁉︎」
「一応 正当防衛って事で 一発ブン殴っておいたけど…
また来るかもしれないんで 渡しておきます」
「正当防衛…⁇」
俺がそう聞き返すと 彼はニッと笑った
「俺 空手黒帯なんで」
「…へぇ」
失礼ながら彼の身なりから少し意外だなと思ってしまった
俺も護身術で 合気道を習っていたし
周りの奴らも誘拐対策などで
色々やっている者は沢山いたが
極めている奴は かなり珍しかった
「ありがとう 助かるよ」
そして 俺に協力的とも取れる対応にも驚いた
それが顔に出ていたのか
彼は複雑そうに頭を掻きながらさっきとは違う顔で笑った
「俺だって 創には笑ってて欲しいですから」
その台詞につられて 俺もフッと笑ってしまった
「そうか でも手は出さないでくれよ⁇」
「え〜⁇」
お互い笑顔で火花を散らしていると
創が小走りでやって来た
「お待たせ…どうしたの⁇」
「「何でもないよ」」
「⁇⁇」
俺達の様子に 創は明らかに戸惑っている
まぁ 当然といえば 当然なんだが
「靴取っておいで 向こうから 一緒に帰ろう」
「うん」
創が下駄箱に向かうのとほぼ同時位に
榎戸君が 俺に背中を向けた
「じゃ 俺はこれで」
「ああ…」
何となくだけど 悪い子じゃないんだろうなと思った
それでも 創だけは絶対譲れないけど
「佑吾」
呼ばれて振り返り
直ぐそばまで来ていた創の腰に手を回した
「帰ろうか」
「うん」
手を上に滑らせて黄色い髪を撫でれば
仔猫が甘える様な表情を見せてくれて
その愛くるしさに 眩暈がしそうだ
「…佑吾 来てくれてありがとう…嬉しい」
「俺は 創の為なら何処にでも駆けつけるよ」
「…佑吾」
潤んだ瞳に 愛しさが込み上げて来て堪らない
ゆっくりしたい気持ちをグッと堪えて
創を家まで送った後
なるべく早く帰る事を約束して 俺は再び仕事へと戻った
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