アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
心憂 Ⅲ〜side健〜
-
「…創の…友達…」
「あ‼︎ 日向 健です‼︎」
ハッとなって 名乗ると
先輩は「…そう」とだけ呟いてまた背中を向けてしまった
「…何かあったんですか⁇」
いつもより倍は小さく見えるその姿に思わずそう尋ねると
丸まっていた背中が 小刻みに震え出した
そろりと近付き 横に腰を下ろしたが
先輩は顔を腕で隠しながら俯いていて
その表情は全く見えなかった
「先輩⁇ 大丈夫ですか⁇」
つい弟達にやるのと同じ様に 小さな頭に手を置くと
羊の様なふわふわな質感に 一人感動してしまった
「…失恋したの…だから放っておいて…」
先輩の容姿を持っても失恋なんてするのかと 少し驚いた
しかし 中等部の頃
妖精さんには 魔王が付いてるから近付くな
という噂があったのを思い出した
何を意味するのかも知らないし
そのせいで失恋したのかも分からないけど
でも
「…泣いている人を 放っては行けないです」
俺がそう言うと 先輩はゆっくり顔を上げた
夕陽の色が写り込んでいる先輩の瞳から溢れる涙は
朝露が滴る花の様で とても…
「…綺麗」
無意識にそう発すると 先輩は目をぱちくりさせていて
数秒後には 白い肌が真っ赤に染まり始めていた
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
231 / 365