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母親 Ⅱ
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「…あの子の母親は…どうして死んだんだ⁇」
俺の問い掛けに 男は口角を引攣らせている
その様子に 最悪の考えが頭を過ぎった
「…おい まさか」
「ち‼︎ 違います‼︎ 自殺したんです‼︎」
男は両手を顔の前で ブンブンと振っていて
なんだか妙に哀れだった
「何で自殺なんて…」
「…は…創を…彼処に…売ったって言ったら…次の日…」
男の台詞に 唇を噛み締めた
「…結果 アナタが殺したも同然ですね」
無意識に視線を下げると
下駄箱の上の山積みにされていた広告の一番下に
写真の端が見えて 何となく引っ張り出した
出て来た写真を思わず手に取ると 男の方に向き直った
「コレ頂いて行きます 他には 無いですか⁇」
「な 無いです…」
その台詞に 今度こそ家の外に出ると
タクシーの中で 改めて写真を眺めた
色褪せてしまっているが
小学生と思われる創と 創に良く似た女性が
笑顔で写っている
髪色や瞳の色は 普通の日本人と同じだが
顔立ちが瓜二つだった
何となく写真をひっくり返すと 埋もれていたとはいえ
あんな男でも コレを捨て難かった理由が分かった
その写真を 大事に鞄に仕舞うと おれは家路へと急いだ
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