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デート Ⅲ
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「佐倉」
迎えは要らないと言われてしまった為
指定されていた場所で待っていると
後ろから声をかけ掛けられ くるりと振り返った
「……蓮様」
危うく 佑吾様とお呼びしてしまう所だった
以前もそうだったが 私服の彼は 制服と違い
すごく大人びていて つい見惚れてしまう
「待たせてゴメン」
「いえ…私も今着いた所ですので」
「本当⁇ 良かった」
少しだけ綻んだ目元が すごく綺麗だと思った
自分は いつもの表情を保つのに 兎に角必死だった
「行こ 店予約してあるから」
「はい」
少し後ろを歩こうとすると蓮様は何も言わずに横に並んだ
正直 かなり戸惑う
『好きなんだ』
何故 自分なのだろうか…
そんな事を考えながら 彼を見上げると
視線に気付かれて 小首を傾げられてしまった
慌ててその場を取り繕うと 蓮様の足が止まった為
同じ様に目の前の看板を見るも
連れて来られたレストランに ピシッと固まってしまった
日頃プライベートの外食で行く事なんて無くとも
常に 接待に最適な場所は探していて
勿論此処も知っていた
去年出来たばかりの 高級イタリアンだ
恥ずかしい話 ここの料金を支払うのは
自分には かなりハードルが高い
「れ 蓮様‼︎ あの…」
既に中に入ろうとしていた蓮様を呼び止めると
不思議そうな顔で 自分の方を振り返った
「どうかした⁇ もう予約の時間だから 行くよ」
「…え…あ…」
しどろもどろしている内に
ウェイターに中に通されてしまった
しかも個室
「佐倉 お酒とか飲む⁇」
「…いえ…私 車ですので…」
「そう…何食べる⁇」
「…わ…私は…何でも…」
やはり0の数が違う
貯金を崩す覚悟を固めると 何とか笑顔を作った
「じゃあ 本日のおすすめコース 二人分で」
蓮様の注文に笑顔で頷いたウェイターにメニューを渡した
顔を上げると 蓮様にジッと見つめられて
何か変な所でもあるのかと 不安になっていると
蓮様がボソッと呟いた
「…佐倉がいる」
「え⁇」
「あ…ごめん…何でもない……」
その後暫く沈黙してまい どうしようかと思っていると
蓮様の方から話かけてくれた
自分が情けない
つい数日前までは 普通に接する事が出来たのに
今は どうしてもそれが出来なかった
「佐倉って 東京出身なの⁇」
「いえ…隣県の出身なのですが 都内までは遠くて」
「そうなんだ…兄弟とかいるの⁇」
「兄弟は居ません ずっと父と二人です」
「…ゴメン」
「いえ そんな…気になさらないで下さい」
どこか申し訳なさそうにする蓮様に
慌てて胸の前で手を振った
「それより 私のこんな話…退屈ではありませんか⁇」
「え⁇ 全然 俺 佐倉の事もっと知りたい」
真顔でそんな事を言われて
顔の体温が 上がっていくのを感じた
どう返答したら良いのか困っていると前菜が運ばれて来て
天の助けとばかりに口に含んだ
「美味しい⁇」
「はい とても」
そう返事をしたものの
実際には味わう余裕など全く無く
美味なのかどうか 分からなかった
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