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プール Ⅳ〜side創〜
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佑吾の所に帰りたくて急いでいるのに
人が多くて上手く走れない
モタモタしていると 後ろから手を掴まれて
佑吾だと思った僕は 嬉々と振り返った
「お 可愛いけどやっぱ男か〜
まぁ いっか 君ハーフ⁇ 可愛いね♡」
「え⁇ あの…」
知らない男の人に掴まれている腕が ぞわぞわした
気持ち悪い…
「あ あの急いでるので すみません…」
「え〜 ちょっとくらい良いじゃん」
嫌だ
こんな事してる間に
あの人が佑吾の所に行っちゃったらどうしよう…
そんなの嫌だ…
「…て」
「え⁇」
「離して‼︎」
自分でもビックリするくらいの大声に
周りが騒ついた時だった
「おい 汚い手を離せ この子に触るな」
大好きな声に振り返ると そこには佑吾が立っていて
思わず涙が溢れてしまった
相手の力が弱まった隙に手を払いのけると
そのまま佑吾に抱きついた
「佑吾‼︎」
佑吾はパーカーのジッパーを開けていた為
抱き着いた先から佑吾の体温を感じて
ホッとしてしまった僕は 思わず頬を擦り寄せていた
「な 何だよ…こんな連れいんのかよ」
男の人が去った空気を感じて胸を撫で下ろしていると
後ろから先程の女の人の声が聞こえてきた
「意外ね…
佑吾 そんな顔したり あんな事言ったりするんだ」
「ん⁇」
僕が反応するより先に 佑吾が応えている
僕もこっそり後ろを振り返ると
ちょっと呆れた様な顔で僕達を見ていた
「昔は来る者拒まず 去る者追わずで
人に執着なんてした事無かったじゃない
ヤキモチ焼くとか想像も出来なかったし」
「うーん…
まぁ 昔は それが人を思いやってるって事だと思ってたからな…
でも 本気で人を好きになると そんなの無理だった」
視線を感じて上を向くと 佑吾は目を細めて僕を見ていて
その眼差しに 胸が高鳴っていくのを感じた
「…そんなに Ωって可愛い⁇」
「Ωだからどうかは分からないけど めちゃくちゃ可愛い
もう 創以外考えられない」
嬉しい
佑吾の言葉に さっきまでの不安なんて
全部吹っ飛んでしまっていた
「…佑吾がそんなになる位なら…私も探してみようかな」
「ああ きっと見つかる」
「簡単に言わないでよね 女のαって敬遠されるし…」
αの人に そんな悩みがあるなんて
僕は想像した事も無かった
だから この人も 佑吾が良かったんだなと思う
けど
「…あの」
僕が声を発すると 俯きがちだった顔を上げてくれた
「きっと…貴女を待ってる人がいると思います」
僕の発言に 佑吾も目を丸くして驚いている様だった
「だから…その…」
上手く言葉が出てこなくて もごもごしていると
女の人は大きく息を吐き出した
「何よ この子 ムカツクくらい可愛いわね」
「だろ⁇」
「アンタのその顔も腹立つわ」
そう言って佑吾を苦笑いして見た後 僕の方に向き直って
視線を合わせる様に 少ししゃがんでくれた
「ありがと
貴方みたいな癒される子に 出逢えると良いな」
笑顔で颯爽と去っていく後ろ姿は とても格好良かった
「よし もう少ししたら また練習するか⁇」
「うん‼︎」
佑吾の提案に 僕は大きく頷いた
まさかの佑吾の元カノさんの出現に
自分から願い出た目的を忘れかけてしまっていた
そして 結局何も買っていない事に気付き
佑吾に謝ると 一緒に先程の売店に向かった
少し経ってから もう一度プールに入り
佑吾に教えてもらいながら 練習を重ねた
「大分上達したな 凄い凄い」
「ありがとう」
褒められると嬉しくて 顔が気持ち悪くなってないか心配
「本当は このまま来週も来たいんだけど
うちの創立記念パーティーがあってさ
ちょっと難しいかも…」
佑吾が顎に手を当てて 考えている姿に
僕は慌てて両手を胸の前で振った
「大丈夫‼︎ 今日本当にありがとう」
「ん そしたら再来週また練習しような⁇」
「うん」
佑吾が濡れた髪をかきあげる仕草に
ポーッと見惚れてしまった
水も滴るって言うけど こういう事なんだろうな…
「来年は 創もパーティーおいで⁇
色んな人に紹介したいし」
「え⁇ ぼ 僕も⁇」
「うん 本当は 来週もおいでって言いたい所なんだけど
αの人も沢山来るし 何かあったら嫌だからさ…
俺はあんまり一緒に居られないと思うし
蓮も来るけど 彼奴も来年から大学と平行して仕事に入ってもらう予定だから
いつもより挨拶周りが忙しいと思うからさ」
佑吾の言葉に 胸の真ん中が温かくなった
僕は 未だに佑吾と番になれる実感が湧かなくて
どこか夢の様に思ってしまう部分がある
だから今日みたいな事があると 直ぐ不安になっちゃう
でも 佑吾がこんな風に言ってくれて すごく嬉しい
期待に応えたい
「も もし その時が来たら…」
「うん⁇」
佑吾の大きな手をギュッと握り締め
口を引き結んで顔を上げた
「が 頑張ります‼︎」
僕がそう言うと 佑吾は何度か瞬きを繰り返した後
とても綺麗に笑ってくれた
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