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カラオケ
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部屋に入り 帽子と眼鏡を取ると
健は側にあったメニューで 僕をパタパタと仰いでくれた
「ほら 顔真っ赤じゃないですか ちゃんと水分取って」
お茶を手渡されて 素直に口を付け 喉を潤した
チラリと健を見ると
いつもと変わらない笑顔を向けてくれている
「ちょっと横になった方が良いんじゃないですか⁇」
「…うん ありがとう」
ソファに横になった後も 健はずっと風を送ってくれた
そよそよと仰がれながらも
僕の脳裏にはレンレンと佐倉さんの姿が浮かんでいて
瞼の裏側が熱くなった
「辛くないですか⁇ 大丈夫⁇」
辛い 大丈夫じゃない
でもその言葉達を何とか飲み込むと
何故か フッと笑いが込み上げてきた
「…健は優しいね」
「え⁇ そうですか⁇」
「うん…」
皆にそうなのかな
創の事も気にかけてるみたいだもんね
純粋な眼差しが たまにすごく苦しい
「先輩だって 会長の事が心配で
こんなになるまで見守るなんて 十分優しいですよ」
やめて
僕はきっと 健が思ってる様な人じゃない
「…違うもん」
「え⁇」
「僕が今日来たのは…
レンレンが振られたら告白しようと思ったからだもん」
自分で自分が情けなくなり
堪えていた涙が ボロボロと出てきてしまった
「この前 レンレンが落ち込んでた時
好きって言わなかった事
すごく…すごく後悔してて…
だから 次もう一回その時があったら 絶対言おうって思って…
本当に心配だからじゃない…優しくなんかない…
僕…嫌な奴なの…」
健は 僕のこんな下らない話を 黙って聞いてくれた
呆れられたかな でもそれならそれで良い
僕の事なんか もう構わないで欲しいから
そう思ったのに 健からは予想外過ぎる言葉が降ってきた
「別に 普通じゃないですか⁇」
「…え⁇」
涙が止まる位驚いた僕の頭を 健は何度も撫でてくれた
「好きな人の傷心に告白って よく聞くし
本当に嫌な奴は 自分の事そんな風に言わないですよ」
やめてよ 何でそんな事言うの
これ以上優しくしないで
お願いだから 僕の事 これだからΩはって罵ってよ
「ずっと会長の事好きで 応援してあげてたんですよね⁇
凄いですよ 頑張ったんですね」
「…っ……うぅ…」
止まった筈の涙が 滝の様に落ちて来る
認めてもらえて嬉しくて
優しさがこんなにも胸に刺さって痛い
この痛みには何て名前がついているのか
誰か知ってたら 教えてくれませんか⁇
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