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出逢い Ⅳ〜side創〜
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「客だぞ」
そう言われて手首を引っ張られた
ああ 今度は誰だろう
何度か僕を買った人の顔を思い浮かべて 吐き気がした
連れて行かれたいつもの部屋
怖くて 顔が上げられない
「よろしくお願いしますね」
先程よりも大きな手に触れられて
恐怖に全身が支配されていく
嫌な汗が体中を伝って 小刻みに震えた
自分では制御が効かなくて
泣かない様にするのが 精一杯だった
聞いた事の無い声に 初めて僕を買った人だと分かった
どんな事をされるのか 怖くて怖くて
気付いた時には もう車に乗せられていた
横から視線を感じて 恐る恐るそちらを見ると
大きな男の人がいて 咄嗟に背中を向けてしまった
どうしよう 駄目な態度を取ってしまった
怒られる どうしよう
そう思っていた僕の耳に飛び込んできたのは
予想外過ぎる問い掛けだった
「…寒いのか⁇」
優しい声色に 滲んだ涙をこっそり拭った
「…だ…大丈夫です」
緊張で 声が少し上擦ってしまった
嫌がられるかと思ったのに 頭に温もりを感じて
ビックリした僕は 無意識に後ろを振り返っていた
ジッと目の前の相手を見つめても
変わらず僕の頭を撫でてくれて
どうしたら良いのか分からなかった
「…あ…あの」
「うん⁇」
目の前にいる人は 黒髪をピシッとセットしていて
大きいのに切れ長な目が印象的だった
さっき窓の外に見えた看板に写っていた人より
よっぽどカッコイイ…
「…あ」
つい見惚れてしまい 言葉が出ない
頭から伝わる体温が心地良くて ふわふわする
「着きましたよ」
運転手さんの声に ハッとなった瞬間
僕の肩に 彼がさっきまで着ていたスーツが掛けられた
「え⁉︎ あの‼︎」
「外寒いから」
それだけ言うと 先に外に出てしまった
僕が両手で上着を握り締めると いい匂いがして
それを体内に取り込む様に 大きく息を吸った
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