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秘密 Ⅱ
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「佐倉‼︎」
着いた事を知らせると
外に取りに来てくれるとの事だったので車の中で待った
マンションの入口が開き そちらに視線を向けるも
普段からは考えられない格好に 一瞬動揺してしまった
素肌に羽織ってると思われるパーカーに 乱れた髪
ハンドルを強く握って 自分を何とか保つと
いつもと同じ様に笑顔を作った
「お待たせして すみません」
「いや… 全然…本当に…残業代 付けるから‼︎」
「大丈夫ですよ 気になさらないで下さい」
車から降りて 頼まれていた物を渡すと
切羽詰まっていた顔が ホッとした様な表情に変わって
何故か複雑な気持ちになった
「…佑吾様
明日午後からでも大丈夫な様に調整致しましょうか⁇」
「え⁉︎ 大丈夫か⁉︎」
「はい 恐らく何とかなると思います
確認出来次第 ご連絡致します」
「…佐倉 何から何まで 本当ごめん」
「いえ…」
頭を下げると 笑顔が張り付いている内に車に乗り込んだ
早く戻ってくれて良いのに 律儀なこの方は
俺が走り出すまで ずっとそこに居てくれた
「…⁇」
マンションから遠ざかった所で 路肩に車を止めた
手が震えると思ったら 涙が頬を伝って落ちた
「…何泣いてんだか」
真実を話す勇気も無く
今のポジションに満足していると
いつも自分に そう言い聞かせてきた
『ありがとう 助かる』
あの人にそう言ってもらえるだけで良かった筈なのに…
いつか こんな日が来る事も分かっていたのに…
「…う…っ…く…」
ハンドルに突っ伏しながら 嗚咽を漏らした
ただ ただ あの人の寵愛を受けている あの少年が羨ましい
心の底から そう思った
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