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妬心
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「アレルギーは 特に無しという事で 大丈夫ですか⁇」
お医者さんにそう訊かれて 僕は首を縦に動かした
「では 抑制剤の種類なんですが」
分厚いファイルを開きながら 難しい説明が始まった
自分の事なのに 何が何やら ちんぷんかんぷんで
隣でゆうごも真剣に聞いてくれているのが
すごく心強かった
「コレは最近開発された物なんですが
すごく良いと評判ですよ
今まで2〜3時間おきに飲まなければいけない物ばかりだったんですが
これは 5〜6時間は大丈夫なので
外出の時なんかは かなりお勧めですね」
「こういうのって 副作用とか無いんですか⁇」
「強い物のは 眠くなる事があります
ただ もしもに備えて あった方が良いとは思います」
「そうですか… じゃあ コレとコレと あとコレも下さい」
ぽんぽんと指を指して行くゆうごに
お医者さんは ギョッとした顔をしている
「抑制剤は 全て自費ですが 大丈夫ですか⁇」
「はい 大丈夫です」
「わかりました では 待合室でお待ち下さい」
「ありがとうございました」
僕が あわあわしている間に
いつの間にか全部終わってしまっていた
お薬の下に値段が書いてあって
ゆうごが指を指したのが幾らなのか見ようとしたら
ゆうごに手を引かれてしまった為
結局見る事が出来なかった
でも その後受付のお姉さんからお薬を受け取って
提示された金額を見た僕は
目が飛び出るかと思う程の衝動を受けた
「では こちら三種類のお薬 三ヶ月分で
18万9千円になります」
「じゅ⁉︎」
勿論 1円も持っていない僕は 咄嗟にゆうごを見上げた
当のゆうごはというと ニコニコ笑いながら
「カード使えますか⁇」
「自費なので 大丈夫ですよ」
「じゃあ これで」
と お姉さんと会話しながら 黒いカードを渡している
その時 受付のお姉さんが
ゆうごを見ながら赤くなっているのが分かって
僕は無意識に 頬に空気を入れていた
遊園地に行った時も 色んな人がゆうごを見てたけど
こんな気持ちには ならなかったのに
今は すごくモヤモヤする…
だってゆうごは 僕と番になってくれるって言ってるのに
そんな風に見たら嫌だ…
今まで体験した事のない感情に襲われた僕は
ゆうごの腕にギュッとしがみつき そのまま病院を出た
「創⁇ どうかした⁇」
ゆうごに膨らんだ頬を 人差し指で突かれて
俯いたまま口を開いた
「…受付にいたお姉さん
絶対ゆうごの事 カッコイイって思ってた…」
「え⁇ そんな事ないと思うけど」
ゆうごの言葉を否定する様に首を振ると
ゆうごが 僕の頭を ワシャワシャと撫でた
「創は 周りをよく見てるんだな
俺 創しか見てないから 全然分からなかったよ」
その一言で やっと顔を上げられた
ゆうごのお日様みたいな笑顔を見ていると
モヤモヤが晴れていくから不思議だ
「昼 何食べる⁇」
正直 今朝ゆうごが
これでもかという位ご飯を作ってくれて
あまり減っていなかった
「ゆうごと一緒なら 何でも良い」
心の底から そう思った
僕の返答を聞いたゆうごは また嬉しそうに笑ってくれて
僕までつられて笑ってしまった
外出の時にと渡された眼鏡越しでも
ゆうごの笑顔は キラキラと輝いて見える
太陽に直接皮膚を晒す事の無い僕だけど
今は毎日 佑吾という光を浴びて 生活している
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