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陥穽 Ⅲ
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身体を揺さぶられる感覚に 重い瞼を開けた
頭がボーッとする
「大丈夫ですか⁇」
マスターが渡してくれたおしぼりを目の上に当てた
少しずつ頭が覚醒してきて
チラリと隣を見ると 空席な事に安堵の息が漏れた
「すみません ご迷惑を… お会計して下さい」
「いえいえ 大丈夫ですよ
お連れ様から お代は頂いております」
「え⁇」
眉間に皺が寄るのが自分でも分かった
アイツが奢るなんて 薄気味悪い
咄嗟に自分のポケットや鞄を確認して
無くなった物がないか確認したが
財布の中身も今朝と変わりなくて 拍子抜けしてしまった
礼を言おうにも 連絡先も知らない
「…まぁ いっか」
未だに頭が重かった俺は 考える事を放棄してしまい
また来るとマスターに頭を下げると自宅への帰路に着いた
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