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「……あっという間だったね、ヒロ。」
ご飯を食べて、お土産を買い足して。
ランドを後にすると、途端に現実に引き戻されてしまって。
新幹線に乗り込んでからも夢の国の余韻にまだ浸っていたい俺は、早すぎたこの2日間の事を思って隣の席のヒロにそう言う。
「なんだ、まだ遊びたかったんだ?」
「うん……。」
遊びたかった、っていうよりはヒロと一緒にディズニーに居たかったっていう方が正しいけど。
それって、まだ遊んでいたかったのと同じかなぁって思って頷くと笑われて。
「じゃあ、子供の時みたいに帰りたくないって泣いてみればよかっただろ?」
「え……、そんなことしないよ。」
また行こうとか言ってくれるのかと思ったのに、全然違う返事をされてびっくりしてしまう。
「我儘なゆうも可愛かったのになぁ。」
「……なんかそれ、ちょっと変態っぽいよ?」
小さい頃の、ワガママで泣き虫だった俺。
それを心から可愛かったなんて言うヒロって、ほんとに変わってるよなぁって思って正直な感想を伝えて。
「ヒロ、もしかしてワガママな人が好きなの?」
俺の言ったことに笑いっぱなしのヒロに、まさか違うよねって思いながらそう尋ねる。
「違うよ。」
「だよね。」
我儘な人が好きだったらどうしようって思ってたから違うよって返事に安心して。
だけど、まだ何か言いたそうだから、ヒロの言葉の続きを待つ。
「我儘な人間は嫌いだけど。」
「だけど?」
「ゆうの我儘だけは可愛い。」
「……な、なに言ってるの?」
まるで、ディズニーでのデートの続きみたいに甘い言葉。
俺だけ特別……みたいな言い方するの、俺が一番喜ぶって知ってて言ってるんだろうなって……それは分かるのに、嬉しい気持ちは勝手に湧いてきてしまって。
ヒロの中で俺って特別なんだって。
嬉しくて、嬉しくて。
でも、喜んでる顔は見られたくなくて、ヒロの肩に顔を伏せる。
「ゆう?眠くなった?」
「……うん、眠くなっちゃった。」
ほんとは、嬉しくて楽しくて眠くなんて全然ないけど。
このままでいるためにはそう言った方が都合が良くて。
眠たいよって、ヒロの肩に体重を預ける。
「寝ていいよ、おやすみ。」
そんな俺の嘘をたぶん解ってるはずなのに、ヒロはそう言ってくれて。
ヒロの言ったおやすみに、本当に眠気がやって来たからそのまま素直に目を閉じた。
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