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「ヒロ、どんなお願いにした?」
ヒロと床に並んで座ってローテーブルに置いた短冊を前にする。
だけど、ここに書くのにふさわしいお願いって何だか思いつかなくて。
俺が願い事を考えているうちにヒロはすっかり書き終えてしまっていたからそう尋ねると、見上げた隣の横顔は意地悪そうに口角が上がって。
「ゆうが書くまで秘密だよ。」
そんな風に言われて、ヒロの願いごとが書かれた短冊を隠されてしまう。
「えー、教えてよ……。」
「自分のお願いくらい自分で考えないと、ゆう。」
「う……。」
何を願ったらいいのか分からないなんて、きっと今の生活が幸せで満たされてるから。
それは分かってるけど、せめてヒロが短冊に何を書いたのか分かれば自分の願い事も決められるのに。
普段、俺のことを散々甘やかしてるくせに、ヒロってば変な所で厳しくて、意地悪で。
ほんとに困ってるのに、ってその顔をじっと見つめる。
「そんな顔してもだめだよ。」
「ヒロ、教えて?」
こんな風に意地悪されると、なんだかこっちも意地になっちゃって。
精一杯甘えた声でそうお願いすると、にやにやされる。
「可愛い声出すなよ。」
「教えてくれる?」
仕方ないなって、呆れるように……でも、俺のこと愛おしそうに笑うヒロの眼差し。
その表情と言葉に期待して、喜んでみせるとヒロの顔はすぐににやにやしてる顔に戻って。
「可愛いけど……教えてあげないよ、ゆう。」
「えー、酷いよ……。」
「何でも書いて良いんだから簡単だろ?」
「そうだけど……」
ヒロの言う通り、どこかに提出するわけでも、大勢の人に見せるわけでもない願いごと。
だから。
何でもかいて良いから困ってるんだって思うけど。
そう言われてしまうと、もう自分でちゃんと考えて書くしか無くて。
にやにやしてるヒロに見守られながら、一生懸命考えて短冊に文字を書いた。
「ヒロとずっと、仲良しでいられますように。」
「ちょ、ヒロ……声に出しで読まないで……!」
書き終わるとすぐに読み上げられてしまった、俺の願いごと。
まるで子供みたいに幼稚な願いごとだって分かってるから、すごく恥ずかしくて。
顔が赤くなるのが自分でわかる。
「なんで?良い願い事だとおもうけど?」
「……ヒロは?」
「んー?」
「ヒロはなんて書いたの?」
恥ずかしくて、いたたまれなくて。
ヒロの願いごとに話を変えようとすると、可愛いなぁってまた意味不明に笑われて。
「俺の願いごとはね、これだよ。」
そう言ったヒロが、やっと短冊を見せてくれた。
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