アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
-
ヒロと見上げる、満天の星。
吸い込まれそうなほど果て無いその銀河は、ものすごくきれいで。
ここが自分の家の寝室だってことを忘れてしまう様な、そんな感覚になる。
俺は星のことは詳しく知らないからひとつひとつの名前なんて、分からないけど。
輝きの強さの違う光はどれもとっても魅力的で。
昔の人達が、星空に形を見つけて物語を想像した気持ちがわかるなぁって思う。
「あ、流れ星!」
じっと見つめていた星空。
その視界を横切って行ったのは流れ星で。
「また流れるから、今度はお願いでもしてみたらいいよ。」
嬉しくて声を出すと、まるで小さい子に話すみたいにそんな事を言われたから子供っぽい反応しちゃったかなぁって反省するけど。
だけど、実際の夜空に流れ星を見つける事ってすごく稀で。
俺は今まで流れ星に願いごとなんてしたことないから、やってみたいなって思ってしまう。
「うちの流れ星でも、お願い叶うかな?」
機械で人工的に作られた星空。
その夜空の流れ星に掛ける願いって、叶うのかな。
「やってみないと分からないだろ。」
素直に湧いた疑問に、ヒロは楽しそうにそう言って。
「そうだね。」
「流れ星にお願いする時は、ちゃんと声に出して唱えないといけないからな。」
「そうなの?」
「ああ。」
お願いをしてみるねっていう返事をした俺に、ルールを教えてくれて。
「ゆう、何をお願いするか考えとけよ。」
「わかった。」
ヒロに促されて、次の流れ星が見られるまでにお願いの準備をする。
「ほら、ゆう。流れ星。」
ほんの少しの静寂のあと、流れ星だよって教えてくれるヒロの声。
「ヒロともっと仲良くなれますようにっ!」
その声に、よく考えが纏まらないまま慌ててしたお願いは漠然とし過ぎてるなぁってすぐに自覚したけど。
唱えてしまったから、もう仕方ないな……って。
そう思いながらヒロの方へ目を移すと、俺のことを見つめている瞳と視線が合う。
「ヒロ……?」
星の明かりだけの薄暗い室内で合う視線。
その何とも言えない艶めかしさに気がついてヒロの名前を呼ぶと、その顔が微笑んだのが分かって。
「ゆうのお願い、叶えてあげようか。」
そう言ったヒロの手が、俺の頬に伸びて。
その手に引き寄せられるままに、唇を合わせた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
58 / 66