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「ヒロ、こんなにたくさんありがとう。」
「もっと買ってもよかったのに。」
「もう充分だよ。」
時間をたっぷり使って選んでもらって、買ってもらった洋服たち。
そんなたくさんの洋服が入ったショッパーを持ってくれているヒロにそう言って、繋いだ手を引かれながら、お店が並ぶビルの中を歩く。
ヒロと出かけるのは、だいたいいつも日曜日だから人が多いんだけど。
今日は平日で、しかも昼間で。
曜日と時間が違うだけで、人も少なくて何だかのんびりとした雰囲気が漂っていて。
ヒロと出かけるのはいつでも何処へででも楽しいんだけど、平日のお出かけっていう新鮮さが嬉しくて、自然と口角が上がってしまう。
「じゃあ、そろそろ昼飯にしようか。」
「あ……、もうこんな時間なんだね。」
ヒロにお昼ごはん食べようって言われて確認した腕時計。
まだ午前中かなって思ってたのに、その時計の針は14時近くを指していて。
ヒロとの買い物に夢中になりすぎていたことに気がつく。
「気づいてないだろなって思ってたよ。」
「言ってくれたらよかったのに……。」
「いいんだよ。」
「……ごめんなさい。」
ヒロは食事をきちんと摂る人だから、仕事中でもないのにこんなに昼食が遅くなってしまったことが申し訳なくて。
俺は、一つのことに夢中になると他のことが考えられなくなっちゃうから……そんな自分の悪い癖の所為でごめんなさいって素直に謝る。
「ほんとに良いって。買い物、楽しかったんだろ?」
「……うん。」
そう。
楽しくて楽しくて。
ヒロに構ってもらえるのが、時間を忘れちゃうくらい嬉しかった。
「ゆうのね、そういう所がたまらなく好きだよ。」
「ちょ……ヒロ、こんな所でそんなこと言ったらダメだよ……」
人が少ないっていっても、家とか車の中じゃないから当たり前だけど俺たち以外にも人が居て。
控えめなトーンで言われた言葉は、きっとたぶん俺以外の人達には聞こえてないだろうけど。
こんな昼間の、しかも公衆の面前でそんなこと言ったらダメだよって訴える。
「どうして?」
「どうしてって……ダメだもん……。」
俺の言ってること、理解してるくせに分からないふりをする意地悪なヒロに頬っぺたを膨らませて見せると笑われて。
「分かったよ。」
軽い口調でそんな返事をされたから、絶対やめる気ないなって。
ヒロが人前で恥ずかしいくらい甘い態度を取ることに、いい加減慣れないとなぁって思った。
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