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前菜とスープと焼き立てのパン。
ゆったりとしたペースで運ばれてくるそんな料理に口をつけながら、ヒロとの会話を楽しんで。
待ちに待ったメインの料理。
「すごい……おいしそうだね、ヒロ。」
俺の前に置かれたのは、白身魚のムニエルにトマトのソースがかかったもの。
ヒロの前には、和牛のステーキに山葵醤油のソース。
ナイフを入れると、ふっくらとしたその身は簡単に切り分ける事ができて。
ヒロの視線に促されるまま口に運ぶと、淡白な魚に酸味の効いたトマトソースがぴったり合っていて。
口いっぱいに頬張ってしまったからこのおいしさを言葉で伝える事ができなくて、おいしいよって首を横に傾けて表現すると、笑われてしまう。
「そんな子供みたいな可愛い顔するなよ、ゆう。」
確かに、子供みたいだった自分の仕草。
昨日お昼ご飯の離乳食を瑞希に食べさせてあげてる時、瑞希も同じように美味しいって首を傾けて表現してたなって思い出して。
まだ言葉を喋れない赤ちゃんと同じようなことをしてしまったのを恥ずかしく思う。
「だって……口の中がいっぱいだったんだもん。」
味わって飲み込んだ一口目を食べ終えてそう言い訳すると、控えめに言ってもでれでれしちゃってるヒロが機嫌の良さを隠さないままステーキを食べて。
ヒロが食事をするときの仕草が大好きだから、その様子をじっと見つめる。
「おいしい?」
さっき自分の仕草をからかわれたから、意地悪をするつもりで食べてる途中のヒロにそう尋ねると、笑ったままの顔で見つめ返されて。
その視線は、なんだかいやらしくて。
咀嚼している口元はすごくエッチな感じがして。
意地悪しようとしたことを、もう後悔してしまう。
「そんな真っ赤な顔して……何考えてるんだよ、ゆう。」
俺がいやらしい想像をしているうちに、口の中のものを飲み込んだヒロ。
おいしい?っていう質問に応える代わりにされたのは、やっぱり俺のことをからかう質問で。
「べ、べつに……なんにも考えてないよ?」
慌ててそう返事をして、お水を飲む。
「そ?」
「うん、そうだよ。」
慌てたままの俺の態度は、いくら何でもないよって言っていてもそうじゃないことは明らかで。
でも、そういう俺に慣れてるヒロはこれが当たり前っていう風に笑っていてくれて。
それぞれ半分まで食べた所でメインのお皿を交換してくれる。
目の前に来た、和牛のステーキ。
一口大に切って口に運ぶと、見た目通りジューシーな肉汁が口いっぱいに広がって。
「お肉も美味しいね、ヒロ。」
今度はちゃんと飲み込んでからそう言うと、何故かまた笑われて。
「さっきの美味しいってヤツ、やらないわけ?ゆう。」
「……もうやらないよ。」
やっぱりまたからかわれちゃったから、さっきしてしまった美味しいの仕草をほんとにほんとにやらなかったら良かったなぁって後悔した。
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