アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
-
平日だし、もう夕方だから人は少ないけど。
それでもすれ違う人たちの視線を感じながら、ヒロの背中にしがみついて。
「ヒロ……、ごめんね?」
その内に、ヒロにおんぶしてもらって顔を伏せてる俺よりも、俺のことをおんぶしてるヒロの方が恥ずかしいよなって気付いたからそう謝る。
「いいよ、楽しいから。」
「楽しい?」
楽しい。
思ってもみなかったそんな言葉を聞き返すと、そうだよって穏やかに返事をされて。
こんな状況でも楽しいなんて、ヒロってほんとに変わってるよなって……可笑しいけど、安心する。
結局、車までおんぶしてもらって。
ヒロが助手席のドアを開けてくれたから、しがみついていた背中からシートに移る。
「ゆう、足。」
濡れたスニーカーが車内を汚さないように、助手席に横向きで座って開けたままのドアから足を出してるとヒロがそう言って。
自分で拭くよって言う前に、俺の前にヒロが跪く。
「怪我してないか?」
柔らかな声でそう尋ねられながら、濡れたスニーカーと靴下を脱がされて。
視線で促されて、リュックの中からタオルを出してヒロに差し出す。
「……してないよ。」
「なら良いけど。」
まるで、おとぎ話の中で王子様がお姫様にするみたいに自分の前へ跪いている好きな人の姿。
ヒロがこんな事をしないといけなくなったのは自分の所為なのに、このシチュエーションは俺にとってすっごく豪華なプレゼントみたいなもので。
濡れた足を怪我がないか確認しながら丁寧に拭いてくれているヒロの姿をじっと見つめる。
思いの外、ずっぽりと川に入ってしまっていたらしい俺の足はスニーカーと靴下を脱がせてもらってもしっかり濡れていて。
その足を器用にタオルで拭いてくれているヒロの指の動きに、ドキドキして。
ヒロはエッチなことしようなんて考えずに俺にこんな事してくれてるのに、ドキドキしてしまう自分ってなんていやらしいんだろうって……そう思うと、余計にドキドキしてしまう。
「ほら、もう大丈夫。」
そんな邪なことを考えているうちに綺麗に拭かれた右足。
「ありがと……」
今日一日だけでも、もう何度目かわからないありがとうを言って俺を見上げるヒロを見つめ返すと、ふっと微笑まれて。
「可愛い。」
唐突にそんな事を呟いたヒロが、その手の中にある俺の足にキスをした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
13 / 66