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「ひ、ひろ……、汚いよ……っ!」
今日一日スニーカーを履いていて、おまけに川にまで嵌まってしまった自分の足。
そこにキスするなんて、なに考えてるんだろうってびっくりして。
大きな声でそう言って、足を引っ込めようとするけど。
俺の足を持ってるヒロの力は、思っていた以上に強くて。
ぎゅっと握られたままの足とヒロの頭を交互に見つめていると、伏せられていた顔が上げられて。
「こういうの、好きだろ?」
「こ……こういうのって、どういうの?」
自信満々っていう表情でそんな事を言われてしまったから、ヒロのことを王子様みたいだとかこういうシチュエーションにドキドキするとか……そんな事を考えていたのを見透かされてしまったって慌てて。
しどろもどろになりながら、とぼけて返事をする。
「んー?こういう風に……」
「や、やっぱり説明しなくていいよ……っ」
絶対に俺の考えてることを解ってるヒロ。
その説明を聞くのなんて、恥ずかし過ぎて。
自分でした質問なのに、ヒロの言葉を遮って顔を伏せる。
下を向いて、目を閉じて。
恥ずかしいから、早く俺の足を解放してくれないかなってヒロの様子を気配で窺っていると願った通り足から手を離されて。
俯いたままの俺の足の向きを変えて、助手席に納まった体にシートベルトをかけてくれる。
「……。」
すっぽりとシートに納まった体。
その内に、ヒロの体が離れる気配を感じて。
そっと瞳を開けると、ヒロは後部座席のドアを開けて今日買ったばかりの紙袋の中を探っていて。
「ヒロ?」
なにしてるのって尋ねると、目当てのものを見つけたらしいヒロがまた側に戻ってきてくれる。
「早速役に立ったな。」
「……そうだね。」
買ったばかりの靴下と、新しい靴。
こんな風に新品を下ろす事になるなんて思ってもみなかったけど。
おかげでマンションの駐車場から部屋までは自分で歩いて帰れそうだなってほっとして。
手渡された真新しいそれをヒロから受け取る。
「……別に履かなくてもいいけど?」
「え……どうして?」
左足のスニーカーと靴下を脱いで。
新しいものを履こうとした俺。
その仕草を見つめていたヒロが、呟くようにそう言って。
その言葉の意味が解らなくって訊き返す。
「今度は抱っこで運んでやろうか?」
見上げた先のヒロの顔。
そんな事を言う表情は、心底この状況を楽しんでいるみたいで。
「じ、自分で歩けるよ……!」
俺のことをからかって楽しんでるその態度に抗議の意味を込めてそう言い返すと、爆笑されてしまった。
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