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俺のことをからかうだけ、からかって。
満足そうな顔で運転席に座って車を走らせ始めたヒロ。
ハンドルを握るその手は、大きくて。
長い指は、いつも通りすごくきれいで。
ついさっきまでずっと触れていたのに、もう触りたくなってしまう。
「日が暮れるの、早くなったな。」
「そうだね……。」
「今年もあと2か月だもんな。」
「うん。」
「一年なんてあっという間だな。」
「ん……。」
聞き心地のいいヒロの声。
運転席の方を見てしまうとどうしても触れたくなってしまうから、意識して視線を前の景色に集中させて。
ヒロの言葉に、ただ相槌を打つ。
「こら、上の空。」
そんな風に、一生懸命ヒロから気を逸らしていたのに。
信号が赤になって車が止まると、そんな言葉と一緒に運転席から手が伸びてきて。
その手が、甘く俺を叱る言葉と一緒に降ってきて髪の毛を優しく撫でる。
「う……上の空なんかじゃないよ?」
「そ?」
「うん、そうだよ……。」
上の空どころか、俺は困ってしまうくらいにヒロのことばっかりに夢中で。
それ以外、全然何にも考えられないんだよ。
そんなことを言ってしまったら。
ヒロはどんな返事をするのかな。
いつもみたいにからかわれるのかな。
それとも、甘い甘い態度で愛の言葉を返してくれるのかな。
大好きな人に、大好きだよって伝えて……それでどんな返事がもらえるかを試したくなるのって、変なのかな。
自分が普通なのか変なのかは自分では分からないけど。
自分のそういう所って、相当めんどくさいだろうなっていうのは自覚していて。
特にヒロは大人だから、俺のこんな所ってすごく幼稚に見えるだろうなって思う。
「ずっと、こうしてられたら良いのにな。」
「え……?」
「ん?一日中、ゆうに触ってたいなって思ってさ。」
「……そんなこと思ってるの?」
「だいたいいつも、そんなこと思ってるよ。」
今まさに、俺が考えていたのと同じことを笑いながら呟くヒロ。
そんなことを話しているうちに、信号は青に変わって。
「続きは家に帰ってからな。」
俺の頭から手を離したヒロからそんな事を言われたから、早く家に帰りたいって……。
家に向かってる車の中で、バカみたいにそんな事を思った。
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