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「……あ」
「ん?どうした?」
「スケジュールの紙……」
飲み物とパイを食べ終わって。
さあ、また次の場所に移動しようってコートのポケットを探ると、買い物をしたときまではあったはずのメモがなくなっていて。
「ヒロ、ちょっと持ってて。」
右のポケットに入れておいたつもりだったけど、もしかして反対側だったかなって。
そう思って、ヒロに俺のダッフィーを持ってもらって両方のポケットを探すけど。
そこには、何も入ってなくて。
念のために、リュックの中とかボトムのポケットも探してみるけどやっぱりどこにも入ってない。
「紙、無くしたんだろ。」
「……。」
何週間も前からたくさん調べて細かく書き込んでいたスケジュールの紙。
それなのに、こんなに早い段階で無くしちゃうとか自分の間抜けさにびっくりしちゃって。
ヒロの言葉に返事をすることもできない。
「次はジャスミンのフライングカーペット。」
「え?」
「だから。次はそれに乗りたいって書いてたよ。」
「ヒロ、もしかして全部覚えてるの?!」
ダッフィーを2匹抱えて、しつこくメモを探す俺を見つめてるヒロ。
言われてみたら確かにそう書いてたなって思い出して。
それを書いた本人の俺が覚えてないのに、ヒロが覚えてるっていうことに驚く。
「そりゃ、あれだけ毎日相談されて何回もスケジュール見せられたら覚えるって。」
「う……。」
確かに。
この二か月間、毎日のようにこの旅行の話をして。
パークの地図をパソコンで開いて、どこをどう回ろうかってヒロに相談していた俺。
改訂に改訂を重ねたスケジュール表は、その都度ヒロにチェックしてもらっていて。
だから、頭のいいヒロはそれを暗記しちゃってるんだ。
「ほら、付いておいで。ゆう。」
ダッフィーを俺の腕の中に返してそう言ったヒロ。
その手に引かれて歩き出すと、何度もシュミレーションした通りの道を進んで目的のアトラクションに到着して。
「ありがと……。」
「世話が焼けるよなぁ。」
小さくそう呟くと、まるで小さな子供を相手にしてるみたいに仕方ないなって顔をされて、そんな事を言われて。
「……お世話に、なります。」
でも、お世話になってるのは本当だから、改めてそう言ってみるとヒロの口角が上がる。
「いいよ。ゆうを世話するのは楽しいから。」
面倒なことをしちゃったのに、そう言ってくれたヒロ。
その態度に安心して。
ここからの行動は全部ヒロにお任せになっちゃうけど、それは俺にとって一番心地良い状態で。
やっぱり俺は、ヒロが側に居てくれないとダメだなって。
強く強く、そう感じた。
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