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ベンチに座ってホットコーヒーを飲みながら、カステラを食べてるヒロとまったり過ごして。
平日っていっても混雑しているランドの風景を眺める。
家族とか、友達同士とか、カップルとか。
それぞれに楽しそうな人達。
ヒロの肩に寄りかかって温かい飲み物を飲みながらそんな人達を見ていると、なんだかすごく優しい気持ちになって。
ヒロと一緒に居られる幸せで、心が満たされる。
そんな事を考えてる間に、ヒロがカステラを食べ終わって。
手が汚れちゃってるかなって思ってリュックからウエットティッシュを差し出すと、ヒロがにやついた顔になる。
「……ヒロ、なんで笑うの?」
ただウエットティッシュを出しただけなのに。
そんな顔されても困るんだけどって思いながら、そう尋ねると俺の手からそれを受け取ったヒロが更ににやにやして。
「だってさ、ゆう。」
「うん。」
「俺のこと、いつもそんな風に気にしてるのが可笑しいから。」
……たしかに。
ヒロは俺にティッシュちょうだいなんて言ってないし。
そもそも、食べ終わったタイミングをしっかり見てるっていうのも、よく考えたらヒロのこと気にしすぎなのかもしれない。
だけど。
「だって……ヒロのこと以外、気にすることなんか無いんだもん。」
俺にとってヒロは、大袈裟じゃなく自分の全てで。
ほかに考えることなんか何もなくて。
だからなんだよって、そう言うと口元を手で押さえたヒロが俺のことをじっと見つめて。
「なぁに?ヒロ……」
あまりにも何か言いたげだから何なんだろうってそう訊くと、綺麗に手を拭いたあと膝の上の俺の手が握られて。
「ほんと。可愛いよな、ゆうは。」
いつもと同じような可愛いって言葉だけど、いつもよりも甘い口調でしみじみと言われちゃったからなんだか照れてしまって。
思わず俯くと、すぐ隣からはやっぱり機嫌の良さそうなヒロの笑い声がした。
来た時と同じように、いかだに乗ってトムソーヤ島から帰って。
次に向かうのはファンタジーランドっていうゾーン。
ダンボとか、ピーターパンとか、白雪姫とか……、そんな可愛いアトラクションが並ぶこのゾーンは、子供の頃に観たり聞いたりしたお話の世界を再現していて。
ヒロに付き合ってもらいながら順番に回っていく。
「ほら、ゆうが好きなやつ。」
俺の行きたい場所、全部覚えてくれてるヒロがそう言ったのは、プーさんのハニーハント。
順番待ちの列に並んでヒロの顔を見ると、その顔はまだにやついたままで。
「ヒロ、なんか顔……いやらしいよ?」
そんな風に指摘すると、爆笑されてしまった。
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