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悲劇の続きをはじめよう
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小さな四角い公園には遊具は無く、公衆トイレとベンチと枯葉を落とす樹木が何本かあるだけで、しかし剥き出しの土の感触は足首に心地がいい。
乾いた夜風が、少し肌寒い。
ベンチに腰掛け、缶を振ってプルタブを開く。隣に座ったはとちゃんは、缶を身体に当てて暖を取っている。
「……こんなにもらってばっかりで、ぼく、なんにもしゅうとさんに、おかえしできないなぁ……」
「何か欲しいからあげるんじゃないよ。あげたいからあげてるだけ。……むしろ俺は、最初から大事なものをはとちゃんに明け渡してたんだ」
「だいじなもの?」
「返さなくていいから、はとちゃんも俺に、心を許していて欲しいんだ。……ちょっとくっさい台詞になっちゃったな、はは」
照れ隠しに勢い良く缶を傾けたら、なんだか舌が妙に熱い。舌の上にはとちゃんに飲ませた粒のあまりを乗せ、砕き、コーンと共に流し込む。
空き缶入れまで歩いていき、缶を捨て、木のそばに近づく。影が出来て、周囲からいちばん見えづらい位置だ。
空気が、ひんやりとしている。
「ねえねえはとちゃん、ちょっとこっち来て」
てくてくと歩いてきたはとちゃんは、俺の指差した落ち葉のカーペットを見て、わあ、はっぱいっぱい、やきいもしたいねえ、しゅうとさんは、やきいも好き? と間抜けな声で俺の方を振り向いた。
俺ははとちゃんのみぞおちめがけて、握りこぶしを突き込む。薄くて無防備な腹肉が、コートの下で歪む。
お腹から折れ曲がるようにへたり込んだはとちゃんは、
「……ゔっ……あ、あ……」
両手でお腹を抑えて、痛みに震えている。痕がある分、常人より痛いのだろう、開かれた口からは苦しげなうめき声がいくつも漏れる。
顔を上げたはとちゃんは、何が何だか分からない、というように瞳を揺らす。
俺ははとちゃんの肩をわし掴んで、木の根元あたりに突きとばす。枯葉ががさりと音を立て、はとちゃんが手に持っていたコーンポタージュの缶は土の上にぼたり、と墜落して転がる。
先程閉じさせたばかりのコートを開き、エプロンをしゅるりと解き、ブラのホックを外す。
「ひ……しゅうとさん、こんな、や、やめて、」
「コート越しじゃなく、直に殴ったらもっと痛いんだろうなあ? 膝はどうだ?」
縫合痕の上にノックするように膝を当ててやると、先程の痛みを思い出したのかびく、びくん、と防御反応で腹筋を緊張させ、やだ、やだよぉ、と口走り瞳をぎゅっとつぶる。
膝をぐり、と押し込み、樹木と挟んで腹を潰してやると、
「ん、っ、んぅぅ……ひ、やめ、あああ……っぐぅ、ううっ……!」
膝を動かすたび、悲鳴のように声を上げる。
その隙にコートを脱がせ、ブラもベビードールごと外して、真っ白な上半身が外気にさらされる。
眉の間にシワが寄るほど表情は苦悶に歪み、肌は寒さと恐怖で鳥肌が立っている。暗がりに白い体躯がぼんやりと浮かぶ。
「しゅうとさんっ……どうして、どうしちゃったの、やめて……」
「分からない?」
俺ははとちゃんの股の辺りのストッキングをつまみ、無理やり引き裂いて穴をこじ開ける。びり、びり、といくつも破けた穴の具合は、肌とのコントラストで煽情的だ。
パンツを引き摺り下ろしたが、ストッキングの破きが中途半端だったのか途中までしか下りない。まあ、それでもやれることはやれるだろう。
「はとちゃんはお外で裸で女の子レイプしたんだよね。俺は、代わりにはとちゃんを外で裸にして、レイプしてあげるよ。そしたら、相手の気持ちも分かるし、反省だって出来るだろ?……怖い? 痛い? 恥ずかしい? 仲良しの俺相手でもそうなんだから、きっとはとちゃんが犯した子はもっと苦しかっただろうね」
「……あ、あ、ごめん、なさい、」
肩を掴み、揺さぶりながら語りかける。
「俺に謝ってどうするよ。きっと許されないし、罪は消えたりしないよ。あの警察官はこれからも見張りにくる。でも……言ったろ? 俺は、はとちゃんを生まれ変わらせてあげるって。罰をたっぷりあげる。俺とのセックスで、何もかも上書きしてやるんだよ」
下半身を露出し、怯えてかたくなに閉じられた穴に当てがう。先程洗ってほぐれてはいるだろうが、なんの潤滑剤も使わなければ相当痛いだろう。
それでいい。
強烈な体験にならなければ、意味が無い。
無理やり奥へとねじ込むと、肉がへばりつくようにふさがり、這入らない。それを強引に押し込み、何度も突いてこじ開ける。脚を腕で外側に引っ張り肉を寄せ、内奥に俺の場所を強制的に確保させる。
「いたい、いたいっ、ちぎれちゃ、んんっあああ、やああ……っ、う、おしり、あづい、いだいよぉ……」
はとちゃんはめそめそ泣き出して、顔を手で覆う。
ようやくあらかた収まったところで、腰をグリグリと前後させると、やはり非常に動きづらい。それでも力を込め、肉を擦る。
次第に、少しずつ滑りが良くなってくる。腸液が出てきたか、暗闇でよく見えないが裂傷して出血しているのか。
ぐち、ぐちっ、と滑り気の足らない音を立て、はとちゃんの中はみっちりと俺にまとわりついて強烈に絞る。
「う、うごかないれ、いいいっ、いたい、や、あ、っああ! やだぁ……いい子にします、からぁ……っ」
薬を飲ませたが、それでも恐怖と痛みでそこはしなびたままだ。セックスというより拷問に近いな、と笑う。
「普段は悪い子だって自虐してんのに、都合よくいい子ぶりやがって……。報いを受けろ、受け容れろ……俺を」
突き動かすたびに、肉が食らいついてくる。暴れて抵抗するようにはとちゃんの脚が動き、枯葉がぐしゃぐしゃと鳴り、ついには靴が脱げる。白い尻肉にざらつく土がつき、汚れていく。
泣きじゃくるはとちゃんは俺の手首を掴んで拒むように剥がそうとする。か細い腕では、とても俺を止めることは出来ない。
「……1発目……ッ」
少し浅いところにわざと中出しし、抜かずに動かしてやると、滑りが良くなった。薬が効いているのかはわからないが、熱い滾りはまだ収まりそうもなかった。そのまま揺さぶり動かすと、泣き声にわずかだが濡れた吐息が入り混じりはじめた。
「レイプされて何感じてんだよ、ド変態が。
物陰じゃなく、今すぐ通りに連れ出して犯してやってもいいんだぜ? 恥ずかしいとこ全部晒してやろうか」
腹部を覆うストッキングを、爪を立てて引き裂く。
「うあ、あ、いや……っ、う、ここ、ここでいい、です……」
「ここ『で』いい? 違うよな、ここ『が』いいだろ? ちゃんと言い直せ。ここで、外で、裸でレイプして、イケない僕をしつけてくれっておねだりしてみろ」
腹に手のひらを押し当てると、はとちゃんは震えながら口元で祈るように両手の指を絡めた。赤いほおは涙でぼろぼろで、薄く塗られたファンデーションがとろけている。
怯えきった瞳が、嗜虐心を激しく誘う。
「……おねがい、します、ここがいいですっ、このまま……っ、ぼくを、女の子に、して下さい……っ」
はとちゃんの言葉に、腹の底が熱く煮え滾った。身体を裏返して、闇の中で穴をまさぐり、バックから突き入れる。先程より内側が潤って、幾分スムーズだ。
「っあ、んうぅっ、いっ、あ……っ」
抉る都度、はとちゃんは木の根におでこをごつごつとぶつける。それでも、祈る手の形を崩さず、うつむいて俺の与える責め苦に耐える。
何に祈っているのだろう?
何を乞うのだろう?
神か? 仏か?
被害者か? ……俺か?
腹をまさぐると、そこは濡れそぼり固くなっていた。握りしめると、土の上にどくどく液がしたたり落ちる。
「やあ、ああああっ……! や、へん、へんだよ、からだが……っ、なんで、やだ、おちんちんこわれっ、う、や、また、だめ、きもちよくなりたくない、のに、たすけて、たすけ、ひっ、あ……っ!」
ちゃんと薬の効果はあったらしい。とめどなく溢れてしまう感覚に、穴の中も土だらけの太ももも不規則に痙攣し、その度に肉をうねらせて俺を喜ばせる。
華奢な背中に身体を密着させ、必死に祈る手を掴むと、よだれなのか涙なのか鼻水なのかは判断できないが、ぐっしょりと濡れている。関節のあたりが、少し落ち窪んでいる。噛み締めたのだろうか。
「あの子も助けてって泣き叫んだろうね」
耳元で囁くと、身体をこわばらせ縮こまる。
土下座でもしてるみたいに頭を地面に触れさせて、苦しそうに祈りを捧げた。
「ごめん、なさいっ……かみさま……ぼくが、ぼくが泣いたぶん、いたいぶん、あの子を笑わせて、あげて、下さい……おねがい、おねがい、します……っああ、あああ……」
それは、思ってもみない言葉だった。
自分を赦して、と何かに祈るポーズをしているのだと思った。
逆だ。磔刑にされて十字架を背負った有名な神様のように、献身をしている。
赦しを乞い願うのではなく、自分の過ちのせいで痛め付けてしまった人のために、祈っている。言葉の端々に、苦しみを滲ませながら。
唾液と喘ぎ声と、懺悔が漏れ出す口を手で覆い、祈りを捧げるべとつく手を握り締めた。
「……奥の、奥に、種付けしてやるからな。大丈夫……悪いのは、俺だから。……っ、おら、たっぷり中出ししてやる……ッ」
「む、ぐ、ひゅ、と、さ……」
腹の奥底を汚すと、全身の力が抜けてしまうほど脱力感に襲われ、はとちゃんを潰してしまいそうに覆い被さる。
はとちゃんは下半身を痙攣させ、肩で浅く息を繰り返す。弱々しく振り向いた顔は涙や土でどろどろで、なのにとても美しいと思った。
優しくて、穏やかで、夢の中みたいに甘くとろけた微笑みを浮かべていた。
「ごめんな……」
口を突いた言葉に、はとちゃんは首を横に振った。
「……思い出せなくて、もうしわけなくて、かなしいまっ白なちかちかが、また見えたの……。あたまの中にあいたあなが、しゅうとさんでうまったみたい……しゅうとさんは、ほんとに……やさしい人だねぇ……」
汚れきった顔に、唇にキスをする。土の味がする。動かす力が抜けているのか、舌はほんのわずかに震えるだけだ。
乱れて土だらけで枯葉が刺さってる髪を、赤くなったおでこを撫でて、ここに天使の輪っかが付いてないのが不思議だと思った。
優しいのは、はとちゃんの方だよ。
嫌われてもいいと思ってやったのに、なんでそんな風に笑えるんだよ。
俺は悪い奴だよ、どうして。
汚してもなお光るほどの、無上の純真が俺の身体にそっと抱きついた。
まるで真綿に包まれたような心地がして、これが無償の愛か、と気がつく。
何をあげても勝てないほどに大事なものを、俺はもらっていた。
身体をざっと拭ってコートを着せて、家に帰って一緒に風呂に入った。
おでこは赤く、腹部は部分的に青く、指先は噛み跡がしっかり残っていた。やはりというか、穴からは出血が見られたので、塗り薬を付けてやった。薬はバッグに突っ込み、治るまでは付けるように言った。
相当ぶかぶかだが俺の服を貸してベッドに入れると、俺に怯える様子は無く、ぼーっとした表情をしている。疲れて眠いかな、と思ったら、柔らかく笑って、俺の首にそっと抱きついてキスを落とした。
吸い込まれているような気がした。
もう離れられないんじゃないかと、錯覚するくらいに。
「……どうして、泣いてるの? ぎゅっとするの、いやだった……?」
「ううん、違うよ……うれしくて泣いてるんだ。明日は、破いちゃったストッキングと、冬用の靴と……ああ、あとおでこを隠せる帽子も買ってあげる……」
おでこに口付ける。擦れが残っていて、絆創膏を貼ってあげた。可愛い顔に痕が残らないといいな、と思う。
ドライヤーを使ったけれど、まだ髪は少し湿っぽく、同じシャンプーのはずなのに甘く鼻先をくすぐる。はとちゃんはなんでこんなにいい匂いなんだろう。
「ぼく、そんなにいっぱいお金をかけるような、かちがない、です」
「有るよ、大有りだよ。ああもう、はとちゃん……愛してる……」
両手両足でしがみつくように抱き付く。
「あっ、お薬、のんでないや。管理人さんがすごくしんぱいしてたから、のまないと……」
はとちゃんは俺の腕から抜け出て、小さな巾着袋をバッグから取り出して、手のひらに薬のシートや粉薬の入ったパックを乗せた。結構多い。
……このやりとり、ラブホ連れ込んだ時もあったよな。
「冷蔵庫の中にお水あるから、使いな。コップも適当に」
はとちゃんはコップにピッチャーに入ったミネラルウォーターを次いで、ニコニコしながら俺に近寄る。
ぺき、ぺきとシートから薬を押し出して口に含み、さらに何か数字と漢字が表面にプリントされたパックから、多分漢方薬か何かをさらさら飲んで、水で流しこんでぱかーっと口を開いた。
「のめたー」
……これ、映画で見た事ある。
刑務所で薬を飲ませたとき、ちゃんと飲んだか隠して吐いたりしないか確認のために看守の目の前でチェックするシーンだ。
管理人が居ないから、俺相手にしてるのか?
はとちゃんは刑務所みたいな環境で暮らしてんのか?
またベッドにすっぽり入って、屈託なくはとちゃんは笑う。
「えへへ、しゅうとさんがいるから、きっとぐっすりねむれます。しゅうとさんのことをかんがえると、ねるのこわくないの」
「……寝るのが怖い?」
「いしきがなくなって、またなにかあったらいやだから、ねるのこわいの。病院では手足をひもでつないでもらわないと、だめだったの。睡眠薬をのみすぎて、おなかをこわしちゃったりしたし……。今は、ちょっとで大丈夫なんだよ」
絶句していると、はとちゃんはふわあ、とあくびをした。俺に身体を預けるようにぴったりとすぐそばで、目を閉じる。
……ボディーブローを食らったみたいに、しんどい。いやまあ、実際に俺についさっき腹をブン殴られてるはとちゃんと比較すれば、なんでもない気のせいなんだろうけど。
やりきれなさが募る。
邪魔にならないようにそおっと抱きしめて、また目が潤んできた。
この人に愛されるに足る真人間になりたい、と思った。
俺は痴漢したり強姦したり、本当に端的に言ってクズとしか言えない事をしてしまったけれど、ようやく目が覚めたんだと思う。
罪に濡れたら濡れっぱなしじゃなく、人間だから反省して変わって、更生できるはず。
そうでなければ、自責でいつまでもはとちゃんは苦しみ続けるしかないじゃないか。
一生、悲劇の悪役のままで居続けなきゃいけないみたいじゃないか。
幸せになっちゃいけない、なんて呪いみたいに言われたこの人を、
だったら俺が幸せにする、と決めた。
12月に入り、どっと寒さが増した。
花屋を色々と見て回ったが、大きな花束は友人という建前では贈りにくいし、枯れてしまうのも悲しくて、箱入りの真っ赤な一輪の薔薇の造花を買った。これなら、大切にしまっておく事が出来る。
一輪の薔薇の花言葉は『あなたしかいない』だそうだ。あと『一目惚れ』。
花を贈るなんてキザな事、したこともしたいと思ったこともなかった。そこまでのご機嫌取りが必要な女は疲れるからそもそも関係を作ってこなかった、とも言える。
はとちゃんは、喜んでくれるだろうか。
夢から覚めたように、俺のことを嫌いになってしまってるんじゃないか。あれからまた逢えないまま半月も経っている。
駅に着いて、目に入ってきたはとちゃんの姿に、驚く。
スカートじゃない。暗い色のスキニーパンツだ、化粧っ気もない、女装してない!
いやでも髪は相変わらず男にしては長めだし、素材がそもそも中性的だし、やっぱり何か可愛い感じだ。この前買ってあげた帽子も似合ってる。
そして手の中には小さな鉢植えが、四角い透明なプラスチックに緑色のリボンを巻いて、ちょこんと置かれている。
雪のような小さな白い花が可憐だ。
棘のある葉っぱが、これまた小さなサンタの帽子を被っている。
ヒイラギ、かな?
名前に入っているから、柊は子供の頃に図鑑で見たことある。っていうか、名前に入っているからこれにしたのか?
お金無いだろうに、はとちゃん。胸が高鳴って熱くなる。
「お、女の子の格好じゃなくても、大丈夫……なのか?」
はとちゃんは俺の顔を見た途端、ぶわっと泣き出した。
「しゅうとさんは、ぼくのお薬だよぉ……。ありがとう、ほんとにありがとう」
「ど、えっ、どういうこと? 俺が薬……?」
「あのあとねぇ、ぼくのあたまの中に、いつもしゅうとさんがいてくれるの。ぼくのことを見ててくれて、だから、こわいきもちがふわってなって、女の子のふくがなくても、大丈夫なの。病院で先生、びっくりしてたよ。お薬、へらしてみようねって……。ありがとう、ぼく、ほんとに、生まれかわったみたいなの……」
花の入った箱を持つ手が、震える。
過去のあやまちをダシにして私利私欲のままに身体を貪った最低の行いが、はとちゃんを何故か良い方向に変えた、のか?
信じられない、壊すつもりの行為が、いや待てよ、はとちゃんはそもそも壊れたような所があるから、嘘みたいに噛み合ってしまったのか?
「お花やさんが、これがいいって。ひいらぎって、まよけとか、守ってくれるっていみなんだって。しゅうとさんは、ぼくのこと守ってくれる人なんだねえ。あの、あのね、いつもありがとうございます。もらってくれますか……?」
涙が止まらない。眼鏡をかけてても視界がじんわりにじむ。ここ駅のホームなんだけど、ああもう無理だ、どう見られようが関係ない。
この人しか見えない。
「……うん、でもね、交換しよっか。俺もはとちゃんに、お花持ってきたんだ」
箱の蓋をずらし、薔薇を見せると、はとちゃんは驚いて目を丸くした。みるみる顔が赤くなり、口が半開きだ。
「枯れない作り物のお花だけど、気持ちは本物だからね。はとちゃんのことを想う気持ちなら、あの警察官にも、管理人にだって絶対に負けてないから。俺は……俺みたいな奴でも許されるなら……はとちゃんとずっと一緒に居たいんだ。ありがとう……愛してるよ」
箱と鉢植えを交換して、そっと口付けた。涙の味がする。だけど頭の中は、とろけそうに甘い。
唇を離すと、はとちゃんは箱をぎゅっと抱き締めて、
「やったぁ〜〜あいしてます〜〜」
と満面の笑みで涙をぽろぽろこぼした。
たくさんたくさん泣かせてしまったはとちゃんを、はとちゃんの人生を、これからは喜びの涙でいっぱいにしたい。
バッドエンドすら訪れない残酷な悲劇みたいなこれまでは、どうか幕を閉じさせてくれ。
続きは、誰になんと言われようと幸せな喜劇にする。
この人と、添い遂げてみせる。
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