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再会
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「悪いが、大和油脂さんに今すぐ行ってくれ。東大阪工場の定期交換、まだ来てないらしい。」
外出先で、大和油脂の近所にたまたまいた俺に、課長から電話が入った。
「解りました。担当者さんつかまえ次第、送っていきます。」
「頼んだぞ。」
5分で支所に着いた俺は、受付をすっ飛ばして、休憩室に向かった。
ここで一番古株のオッサンは、実はここで一番腰の軽い男で、技術もピカイチだ。
「居た、いた!久しぶりッスね、上松さん。」
「あれ?山ちゃん。久し振りやんか。」
上松さんが振り返った。
その目の前にいるヤツを見て、俺は固まった。
―谷村。
どうして、ここに?
そう思いながらも、俺の口は上松さんに用件を告げていた。
「何か行き違いがあったらしくて、まだ東大阪に定期交換が来てないらしいんすよ。これから、頼めます?」
「あー。そりゃあ悪かったなぁ。オイルがアレやと随分困ってはるやろ。ほな、すぐに準備するよって、ここでコーヒーでも飲んどいて。」
軽く肩を叩かれた。
「いや。俺も手伝いますよ」
「そうか?ヨッシャ!ほな、行こ。」
上松さんは、油で汚れた帽子をかぶると、倉庫へ向かって歩き出した。
》》》》
「さっきの。新しい保険屋さんなんやけどな。えらい、ショボクレとるんや。ノルマが相当キツいんやろか?」
「さあ?どうなんですかね~。あ、18番でしたっけ?」
俺は軽くかわして、専用オイルのドラム缶を探すフリをした。
「いや。たしか東は、24や。
なぁ…山ちゃん、もう入院保険とか入ってるんか?」
「いやいや。無理ですよ。それに、入院なんて滅多にないですし。第一俺、ヨメとかまだ居ませんから。」
「そやけど、車は運転すんねやろ?」
中身の入ったドラム缶を転がしながら、上松さんがプッシュしてくる。
「まぁ、そうですけどね。車の保険は、車屋じゃ、ないッすか?」
「あー。参ったなあ。」
上松さんが渋い顔で腕組みをしたから。
俺は保険の話かとビクついたが、そうじゃなかった。
「これ全部運ぶんやったら、トラックが要るなぁ。」
「あぁ~。そうッスね。」
たしかにドラム缶三本をのせて運ぶには、営業車じゃあ到底ムリだ。
「急ぐんやんな?」
「ええ。」
「ヨッシャ。ちょっと交渉してくるから、待っといてくれ。」
「いいですけど。」
たしかさっき、支所に入った時、トラックは1台も残って無かったようだったが…
上松さんには、他にあてでもあるのだろうか?
俺は首を捻った。
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