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リクエスト 女装
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「純ちゃん、やっぱりやだよう。
もうやめたい」
すがる思いで純ちゃんの手を引くと、イライラしたように純ちゃんが振り返った。
「いつまでもウジウジうるせぇ!俺だって嫌に決まってんだろ。男なら黙って耐えろ!」
可愛らしいメイド服を着た純ちゃんが相変わらずの男道を語る。
髪は地毛に合わせた黒のストレートウィッグをつけていて、さらさらと揺れる。
そういうオレも、純ちゃんと同じメイド服にブロンドのふわふわ巻かれたミディアムくらいのウィッグをつけていた。
遡ること一週間前、土曜日ということもあって純ちゃんと二人で街を歩いてると、いつもの感じでじゃれるように抱き付いたオレに純ちゃんが照れたように歩くスピードを早くして前の巨体の人とぶつかった。
自分からぶつかっといて車道側に撥ね飛ばされそうになった純ちゃんを、ぶつかられてもびくともしなかったその巨体の人が身を呈して庇ってくれたのがきっかけだ。
その人は全治二週間の怪我を利き腕に折ってしまった。
男らしく筋肉ががっしりついた大きな体に、くりんっと濃いマツエクをつけて厚化粧で真っ赤な唇。
「ゴ、ゴリ………っ」
ゴリラと言おうとした純ちゃんの背中をバシッと叩く。
彼は、所謂、オカマさんだった。
すみませんでしたと頭を下げるオレ達に、オカマさんは人当たりのいい笑顔を見せてくれた。
「いいのよぉ。こんなかわいい子達の美貌を腕二週間で守れたなら安いくらいだわ」
「あの、せめて治療費払わせてください」
「ばかねぇ。こんな子供から私がお金をとるわけないじゃない」
手をしならせて、がははっと豪快に笑う。
その調子で、飛び出したこちらが悪いのでと運転手からも彼はお金を受け取らなかった。
いつまでもうじうじと、でも、さすがに、と繰り返すオレ達に、オカマさんはそうだわ!と声を出した。
「そんなに言うなら、来週末私のお店手伝ってくれない?
ちゃんとバイト代だすわよー!それならいいでしょ?」
名案だとばかりに顔を輝かせる彼を焦って止めた。
「いえ、もちろん、お仕事の手伝いでしたらできますが、さすがにお金は受け取れないです」
「うん。俺らが悪いんで、治療費を受け取らないなら、せめて働いたその分を納めてください」
純ちゃんと顔を見合わせてそう言うと、オカマさんは満足したようにうんうんと頷いた。
「こんなに可愛くていい子見付けられるなんてついてるわぁ~。じゃあ来週末、ここに来てね」
冒頭に戻り、手渡された名刺の店についたのが15分前。
制服だと渡されたのはミモレ丈の黒のワンピースに白のヒラヒラしたエプロンとカチューシャ。それからキャメル色のショートブーツ。
極めつけはオレら髪に合わせたウィッグだ。
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