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シュークリーム[1]
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商店街の裏手にある鄙びた雑居ビル。教えられたように、ホールを突き抜けて外階段を上がる。
看板は出ているものの、こんなところへ自力で辿り着く人がいるのか甚だ疑問だ。
『Venusの那須の紹介と言うのを忘れないでね』と、行きつけの店のママ、那須さんに念押しされた。
紹介でなければ、おっかなくてこんなところに入っていけない。
呼び鈴を鳴らし、那須ママの名前を伝えると、ロックが開いた。室内を見渡すが、他に人の気配は無い。
「いつもなら助手もいるのですが。今日訪れるのは貴方だけですから。」
奥の部屋から、背を向けたままのマスクの男が静かに告げる。
コートと手荷物をロッカーに納めた
古い造りの金属ドアが、重厚な音を立てて閉まる。
覚悟を決めて室内へ進んだ。
こんな場所なのに、顧客管理はぬかりないようだ。証明書を添えて、こちらの素性も包み隠さず伝え、ようやく奥への入室を赦される。
…それにしても。こちらは次々と身に着けていた覆いを取っ払われるのに、男はマスクをずらす事もない。
…不公平だな。
初対面の男は、高い背もたれの重厚な椅子に掛けるよう勧め、小さなブランケットを膝元にフワリと掛けた。
「寒いでしょう?空調が効くまで暫くかかりますから」
穏やかな口調。他の音がないので支障ないが、注意して聞かないと聞き逃してしまいそうだ。
俺にだってこの後の展開はわかっている。引き結んだ唇を緩め、目を閉じる。
タイミングを見計らっていたのか、咥内に薄い皮膜で覆った指先が滑り込んできた。
想像だけでも嫌悪していた、ゴム特有のにおいはしなかった。
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