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『SUBARU』へと戻ってきた5人は、上の階にある共有スペースに集まった。
まるでシェアハウスのようになっているその階は、中心に共有スペースと呼ばれるエントランスホールの様な空間があり、そこから6つの部屋に行くことが出来る。
そのうちの3つはすでに藤城悠達の部屋であり、残りの3つを来客の際に貸したりしている。
「まずは甫さん、貴方には聞きたいことがある。貴方が命に代えてまでも彼に渡したかったその指輪には何があるのか?」
「…この指輪はうちの、井端家に代々伝わる指輪。心に決めた相手に渡すのがしきたりで、…………ううん、それだけじゃない。この指輪が鍵なんだ。井端家の財産の。」
先程向田篤志に渡しそびれてしまった指輪を5人が囲むテーブルの上に置いた。
「うちの財産の一部は管理屋に頼んで保管してもらっているんだけど、そこを開ける鍵がこの指輪。どうしても、陣内組には渡すわけにはいかなかった。だから、唯一信用出来る人に渡したかったんだ。」
「何故そんなものがあるのに、それを借金の返済に使わなかったんだ?」
藤城悠の疑問は皆の疑問でもあった。
「普通の財産じゃないから…。あそこに保管してあるのは、薬なんだ。僕も詳しいことはよく知らない。昔、親交のあった家から預かったものらしいんだけど…。」
「開けて見てみればいいのに。」
「ダメ‼︎時が来るまで、開けてはダメなんだ。」
「「「「時?」」」」
「……うん…。そう、母に言われたんだ。それがいつなのかはわからない。」
数分間沈黙が続いた。あまりにも謎だらけだ。そんな中、九十九昴だけが唯一何かを感じていた。
「取り敢えず、わかった。その話は今回の件とはあまり関係なさそうだから、置いておくことにして…………2人のこれからについて話し合うとしようか。
どうしたい?このまま陣内組から逃げ回り、怯え続ける人生を送るか、いっそ命を断つか……あるいは、俺達と取引をして安全な人生を送るか…。
向田さんからはもう返事を頂いたけれど、もう一度2人で話し合って下さい。」
藤城悠の言葉に顔を見合わせた向田篤志と井端甫は、お互いに手を取り合い、向かいに座る3人を見つめた。
「…取引をしよう。…甫に、安心できる環境を与えてやりたい。」
向田篤志のその言葉に、九十九昴が微笑むとその奥から一人の男が現れた。
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