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「言っておくが、俺は話さないからな。尚の事は俺の問題だ。あんたらに話す義理も理由もない。」
有村春一は、相楽尚について触れられる事を嫌がる。それは今に始まった事ではなく、彼が始めて『SUBARU』を訪れた時から変わらない。
「別にいいさ。話そうと思えるようになったら、話してくれ。」
向田篤志は、有村春一の嫌がる理由がわかる気がした。彼にとってとても大切な人の話を、まだ会って間も無い人物にペラペラと話すのは気が進まないのだろう。
一旦話が途切れた所で、向田篤志が組んでいた足を解き、一呼吸いれてから藤城悠達3人を見た。
「多分…この中で一番厄介なのは、俺だ。勿論現状での話だ。この後、君たちがDEDに手を出したら、君達の方が危険だ。
しかし、今の段階では俺が一番危険な立場だろう。」
「何故だ?陣内の連中はもう貴方方に手は出せないはずだ。」
藤城悠が眉間にしわを寄せて少し前のめりに話す。
「俺を狙っているのは陣内じゃないからだ。さっきの話で出て来た赤髪の男…多分そいつに俺は会っている。」
思わず立ち上がった九十九昴は、興奮した口調で向田篤志に詰め寄った。
「いつ?あいつは生きてたって事?あそこで見つかったのは、あいつの遺体じゃないってこと?」
テーブル越しに向田篤志に詰め寄った九十九昴は今にもテーブルの上に乗ってしまいそうな勢いだった。
慌てて藤城悠がイスに座らせるが、九十九昴の興奮は覚めやらぬまま、瞳の色が少し翳った様に、向かいに座る向田篤志には感じられた。
「落ち着いてくれ。君の言う赤髪の男かはまだ分からない。しかし、もし、君の見た男の髪が染めた赤では無いのなら、その男は生きている。」
九十九昴は目を丸くした。忘れる筈が無い。初めに飛び込んできた、美しい程の緋色の髪は、染めた色などでは無かった。
羽交い締めにされた時、自分の頬に触れた赤髪は、痛いほど目に焼き付いている。あの男が生きている。
「生きている…あの男が…。燃えるような、美しい程の緋色の髪…忘れた事なんて無い。あの男が…」
拳を強く握りしめる。食い込んだ爪が皮膚を傷付け、血が滲む。
「やはり…同じか。…奴が現れたのは1年前。
甫の家が火事になった日だ。」
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