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「殺された?なんの事件にもなってないじゃないか。マスコミも一切そんな事報道していない。」
綾瀬良が来たとき、直ぐに奥に引っ込んでしまった有村春一は、自分の恩師が死んだという突然の事に、狼狽した。
「警察でも内部のお偉いさん方しか知らない様な話しだ。身内にも打ち明けていないことを、マスコミに流すわけがない。…この件、警察は事件として取り上げず、親族には職務中に心臓発作を起こしたと伝えるらしい。」
「そんな…。遺体を見れば一目瞭然じゃないか。まさか、遺体を引き渡さないつもりなのか?」
「いや、心臓を一突きだった様だ。傷も小さく、とても綺麗な遺体だったと言っていた。」
そんな事が出来るのは、素人ではないということだ。腕のいい殺し屋でも、一撃で人を仕留めることは難しい。それも、小さな傷しかないという。どれほどの手練れだったのだろうか。
「その一件、DEDとどう関わりがあるんだ?」
向田篤志はお茶を一口啜り、藤城悠に問うた。
「殺したのが、DEDである可能性が高いらしいんだ。航平さんは春一と尚の一件以来、ずっと一人でDEDを追っていたんだ。責任を感じていたみたいでな…。上から圧力が掛かろうと、航平さんは絶対に諦めなかった。
殺される前日、綾瀬と航平さんは2人で飲みに行ったらしいんだが、そこで航平さんが綾瀬に〝明日、動こうと思う。自分に何かあったら、春一と尚を頼む。〟と、酒を飲みながら話したそうだ。」
それが、津村航平と交わした最後の言葉だったと、綾瀬良は苦虫を噛み潰した様な顔をして話していた。
「DEDを追うということは、そういうことだ。今まであいつらが、何か表沙汰で動くことはそうなかった。動かなければならない様な情報を、航平さんが掴んだって事だとしたら……。今まで、謎に包まれていたDEDの内部で何か歪が生じ始めているのかもしれない。」
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