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「ご注文は何にいたしましょう?」
綾瀬良が来なくなった『SUBARU』は、元通りに閑静で高級感溢れるBARになっていた。
「何か爽やかなのを頼むよ。」
「かしこまりました。」
九十九昴が担当している客は芹澤銀樹-セリザワ ギンジ-。大手製薬会社セリザワグループ社長、そして、裏社会に太いパイプを持つ。
今までに何度も警察に目をつけられているものの、『SUBARU』で得た情報を元に警察の網をかいくぐって来た。
年齢はまだ43と若く、若社長としても有名である。
もともとセリザワグループは裏社会との関わりなどを持つような会社では無かったのだが、前社長である芹澤琢磨-セリザワ タクマ-、芹澤銀樹の父が病で他界したことにより、40という若さで社のトップにたつことになった。
社長に就任する以前から裏社会と関わりを持っていた芹澤銀樹は、就任の際、重役達の間で賛否が真っ二つに別れたのだ。
しかし、結局社を継ぐ事となった芹澤銀樹は裏社会との関わりを利用し、先代の時よりもはるかに大きな会社へと3年という短い期間で成長させた。
「XYZ。ホワイトラム・ホワイトキュラソー・レモンジュースの爽やかなカクテルでございます。」
「XYZか。頂こう。」
カクテルとは様々な種類があり、まるで花の様にその全てに意味がある。
九十九昴はそれらを全て把握し、芹澤銀樹の様におまかせのときは必ず相手へのメッセージを添える様に心がけている。
「…悪くない。これは、褒め言葉として受け取っておけばいいのかな?」
「ええ。もちろん、貴方は今までにない天才経営者です。尊敬しております。」
頭を下げ、相手を敬う姿勢をとる。
XYZには“これ以上ない最高のカクテル”という意味がある。
九十九昴は、彼の経営者としての才能の素晴らしさに敬意を表し、このカクテルを選んだ。
「頭をあげろ。」
「それでは。…今回は?」
芹澤銀樹が九十九昴の差し出した炭酸水の入ったグラスの中にコインを6枚落とした。
60万。今回彼が求める情報に対する対価だ。
「最近、警察がこそこそ裏を彷徨いてる。やり辛くてな…警察が何を調べているのか、いつまでなのか、そして取引にいい場所を教えてほしい。」
『DED』の件で公安の刑事が裏に紛れこんでいるようで、警察に見つかると不味い芹澤銀樹はとても迷惑しているようだった。
「足りない……場所のみです。」
芹澤銀樹の要求した情報全てと60万はあまりにも不釣り合いだった。
「まぁ…いいさ。60万で買えないってことはかなりやばい件だろうから、触れないでおこう。」
芹澤銀樹の判断は正しかった。『DED』について知ることになった暁には、命を狙われる事態になる。
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