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「警察の目につきにくい場所は数箇所、この地図にしるしてある。だが、今はあまり動かない方がいい。…巻き込まれるよ。」
地図を受け取った芹澤銀樹はカクテルを飲み干すと、「気をつけよう。」と言って店を出た。
裏社会に生きる者たちはこういったことにとても敏感だ。その証拠に兵藤組は、津村航平が殺害された翌日にあった取引を取りやめた。
3日後には『SUBARU』を訪れ、情報を買って行き、現在はなるべく目立つ事の無いようにしている。
「航平さんは何を掴んだんだ…」
九十九昴は、やっと手の届きそうな所まで来ていたはずのものを掴めない事に苛立ちを感じていた。
グラスを洗いながら、今まで手に入れた情報の中に何かしら、『DED』へと繋がる物は無いかと思考を巡らせる。
「…る、……おい、昴??」
突然藤城悠に肩を掴まれて我に返る。手にグラスを持ったまま、水は出しっ放しになっていた。冷たい水に晒し続けた指先は、感覚が無い程冷え切っている。
一体どれ程こうしていたのか。慌ててグラスを洗い、手の水分を拭き取る。
「昴、大丈夫だ。…今までだってそうだった。なかなか手に入らない情報を必死で集めて来た。そんなにすぐに手に入るなら、今までで、手に入らなかった筈がない。…地道に行こう。」
冷え切った指先を包み込むように握られる。藤城悠の手は暖かく、九十九昴の指先を徐々に温めて行く。
「そう…だね。なんか、早くしないとって焦ってた。みんないるのに、1人で考えて、焦って、バカみたいだ…。ごめん……もう、大丈夫だから。」
温まった指先を彼の手から離すと、カウンターへと戻った。藤城悠の手は、九十九昴の冷たい指先に触れていたのにも関わらず、温かいままだった。
いつも、昔からそうだ。彼はいつも変わらずに九十九昴を何よりも大切に思ってくれていた。
(ありがとう、悠。いつも貴方に救われる。)
カウンターに戻った九十九昴は元の笑顔の九十九昴に戻っていた。
「いらっしゃいませ。ご注文は…」
「そんなに知りたいの?…赤髪の男の事…」
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