アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
6
-
「やぁ。…久しぶりだね、昴。」
暗く、灯りの全く無い路地裏では、赤髪の男の姿を認識することでやっとだ。暗がりにちらつくキラキラと光る物体に、相手もナイフを所持していることが伺える。
柄の部分を掴み、まるで、目の錯覚を利用し鉛筆を柔らかく見せるときの様にナイフを動かしている。
ゆらゆらと波打つナイフの光が一層、場を異常に見せる。
「赤髪…」
ナイフを握り直し、相手を睨みつけたものの、九十九昴から相手が見えないのだから、灯りの灯る表通りを背にしている九十九昴の表情が赤髪の男から見える筈もない。
ただ、自らの立ち位置が不利であることを感じさせられた。
暗がりを背にしている、赤髪の男の姿を把握すること事態やっとなのに、戦闘になった際は、相手の動きを瞬時に把握することが重要になる。
闇に紛れている相手の動きを瞬時に把握することはとても困難だ。
それに引き換え、九十九昴はネオンに照らされた表通りを背にしている為、姿事態は捉えやすい。例え表情が見えずらくとも、相手の動きが見えれば、戦闘は有利に進むことだろう。
藤城悠なら未だしも、護身用に習った程度の九十九昴の腕前では、目の前の相手に不利な条件付きで勝る事は不可能に近い。
しかし、それも承知の上で相手の誘いに乗ったのだ。今更引き返す事は出来ない。
「赤髪って…、くくっ!」
「何がおかしい?」
「いや…情報屋のくせに僕の名前すら調べられていないなんて…笑えるっ、くくっ!」
口を覆い、馬鹿にした様に笑う相手に怒りがこみ上げる。
「……しょうがない。昴にだけ特別に名前を教えてあげよう。」
「名前を?」
「あぁ。俺の名前は夏目。…夏目史隆-ナツメ フミタカ-。……君の知る、夏目直孝の弟だよ。」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
59 / 70