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夏目史隆に連れて来られたのは、『SUBARU』からほど近いビル。
エレベーターでは表示されていない階にあるらしく、階数ボタンをいくつか押すと液晶に『D』と表示された。
「面白いだろう?」
エレベーターが地下へ向かっておりて行く間の沈黙を破ったのは夏目史隆だった。
「ああ。…興味深いな。どんな仕掛けなのか、気になるよ。」
「まぁ実際のところ、俺はよく知らないんだけどね。ここはもともと兄さんの研究施設だったから。」
夏目史隆が話し終えるのと同時に、エレベーターが止まり、扉が開く。
「さぁ、ようこそ。俺の遊び場へ。…昴はこの奥だ。」
薄暗いエレベーターの中からの突然の明るさに藤城悠はようやく朦朧とした意識を覚醒させた。何もかもが真っ白い空間は、光を反射し、眩しい程に明るい。
ひたすらに奥へと続く白い道は、何処へ向かうのか、自らが本当に前へと進んでいるのか、わからなくなる。
どれほど歩いただろうか。
見えて来たのは、両開きの大きな扉。夏目史隆は扉の目の前に立つと、何処からかカードキーを取り出し、扉に差し込んだ。
まるでからくり部屋の様に、キーを差し込んだ途端、目の前にあった白い扉が細かく分割され、開いていく。
「ほら、昴はあそこだよ。」
夏目史隆が指を指した方には、赤い管に繋がれ、青白い顔をして眠る九十九昴の姿があった。
「昴‼︎‼︎」
思わず駆け出した藤城悠は、首に当てられたナイフに動きを止めた。
「だめだよ。会わせてあげるとは言ったけど、触っていいとも、近寄っていいとも言ってないだろう?」
ナイフの刃が少し皮膚を切り、赤い血が伝う。目の前に居るのに触れることも、寄り添うことすら許されない状況に、藤城悠は己の拳を握りしめた。
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