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雪「涙、どうしたの?泣かないで。」
ゆっくり抱きしめて、座らせる。
それでもまだ涙は泣いていた。
落ち着くように背中をなで続ける。
やはり、なにかあったのだろうか?あの鋭い視線を思いだし、不安になる。
やっと、涙がおさまり、ゆっくり話してくれる。
涙「部活から帰ろうとして、校門をでるところで、3人ぐらいの人に呼び止められて…。帝先輩たちに近づくなって言われて、言い返そうとしたんだ。」
やっぱりか、と思った。なにかひどいことされたのかな。
涙「そしたら…帝先輩が俺のこと鬱陶しいって言ってたって。ちょっと構っただけで、なついてきて面倒くさいって言ってたって、言われて…。」
どこをどう見てそんなこと言うのか。あり得ない。
涙「俺、そんなわけないって、言い返したんだ。そしたら、なんでそんなこと言えるんだって…こっちは直接聞いたって言われて…その時帝先輩たちが来たんだ。」
涙「そしたら、帝先輩が確かにそう言ったって言われて…俺、よくわからなくなって、そのまま走って帰ったんだ。携帯に何回も帝先輩から着信あったけど、一回もとれなくて…。」
また、ボロボロと泣き出してしまった。
雪「そっか。涙はどうして泣いてるの?皆に囲まれて、近づくなって言われたから?言い返せなかったから?…帝先輩にそんなこと言われてたから?」
優しく背中を擦って、ゆっくりたずねる。
雪「涙は帝先輩が苦手なんでしょう?近づかなくて良くなったんだよ?嬉しくないの?」
ゆっくり、ゆっくり、諭すように言葉をかける。
涙「…イヤだった。全然嬉しくない。帝先輩は苦手だったけど、離れることは考えてなくて。なんでかわからないけど…悲しかった。」
雪「そうだね。帝先輩と離れるの悲しいの?」
涙「…うん。」
雪「じゃあ、皇先輩や僕も同じこといったら悲しい?帝先輩みたいに。」
涙「…悲しい。けど…………違う…。」
雪「うん。帝先輩は違うよね。じゃあ、ちゃんと帝先輩に聞いてみよう?それからもう一度考えてみよう?」
涙「…でも、怖い。聞けない。」
雪「このままだと離れちゃうよ?いいの?」
涙「やだ…。」
雪「じゃあ、頑張ろう。大丈夫、僕がいるから。一人になんてしないから。」
そのまま涙は寝てしまった。僕の手を掴んだまま。
そーっと手を離し、リビングへ向かう。
咲さんには友達と揉めて、イライラしてたみたいって伝えた。そのまま寝ちゃったから、寝かせてあげてと。
僕は家に帰り、気持ちを落ち着かそうと息を吐く。
誤解かもしれないが、涙を泣かせたことは許せない。明日のことを考えて、早めに寝た。
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