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ピンポー…ンと遠慮がちなチャイムがなる。
雪「あれ、お客さん?僕出てくる。涙はその顔で出れないでしょ。」
まだ目が赤く、泣きましたって顔している涙にそう言って、玄関に向かう。
扉を開けると帝先輩がいた。後ろに皇先輩もいる。
雪「帝先輩。」
帝「えっと…草薙帝と申します。ご家族の方ですか?」
雪「え?」
皇「帝、多分…雪だと思うぞ?」
帝「え、えぇー!雪ちゃんなの?マジで?」
雪「はい…。」
なに?なんでわからないの。鷹野先輩まで自信なさげで。赤い顔でぽかーんと上から下まで二度見される。あ、眼鏡してないからかな?
雪「あ、今日は眼鏡してなくて…涙に用事ですか?」
帝「…うん、昨日のことで。」
ちょっと疲れてるような、沈んでるような顔。
もしかしたら、寝ていないのかも。
雪「…僕はこれでも怒ってます。今中に入れると思いますか?」
帝「うん、わかってる。それでもどうしても会いたくて来たんだ。ちゃんと誤解を解きたくて。会わせてほしい。」
雪「…これ以上悲しませないと約束できますか?」
帝「うん。約束する。」
雪「わかりました…どう」
涙「雪ー、誰だったの…」
リビングから顔を出した涙が帝先輩を見て、二階へ走っていった。
帝「涙!」
帝先輩もそれを慌てて追いかけていく。
置いてかれた僕は皇先輩をリビングへ案内した。
そして、冷たい麦茶をだす。
雪「落ち着くまで放っておきますか?」
皇「あぁ、それがいいだろう。」
僕は向かい側のソファーへ腰を降ろした。
皇「雪は普段コンタクトもしているのか? 」
雪「えぇ。お母さんに言われてて。多分目の色が目立つからでしょうね。」
普段は黒のカラコンをしている。
皇先輩へ視線を移すと、ふと二階の方向を眺め、またあの悲しそうな顔をした。
雪「ねぇ、皇先輩。なんでそんな悲しそうな顔するの?」
つい口をついて出てしまった。
驚いた顔でこちらを見る皇先輩を見て、言わない方が良かったかな、と後悔した。
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