アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
14.
-
水族館へ着いた。
僕はよく来るので、皇先輩に合わせて歩きながら、案内係。
皇「ホントによく来るんだな。案内板が可哀想だ。」
雪「そうですね。全部覚えちゃったんじゃないかってくらい、来てます。涙と。」
僕は水槽を見ながら言った。
皇先輩の表情は見えない。
皇「…時々止まってみたり、笑ってたり、口開けて見たり、楽しそうだもんな。」
隣からくすくす控えめな笑い声。
雪「え、そんな感じでした?てか、口開いてました!?」
ぱっと振りかえる。
口許を押さえながら、瞳を細めて笑う皇先輩がいた。なぜか、その表情にほっとした。
それから一番大きな水槽の隣にあるカフェで休憩することになった。だって、周りからの視線が落ち着かない。皇先輩カッコいいもんなー。
二人とも昼ごはんを食べていなかったので、軽食を食べた。
雪「いつもここで長居しちゃうんです。水槽を見ていると、僕もその中に入っていけるような気がして。」
皇「あぁ、わかるな。青い光も綺麗だ。」
それぞれ水槽を見ているので、目線は合わない。
するりと言葉がでる。
雪「…皇先輩は涙が好きですか。」
皇「…。好きだったよ」
ゆっくりと答えが返ってきた。目線を皇先輩へ向ける。まだ目線は合わない。
雪「…後悔してますか。」
皇「…。」
返事はない。
皇先輩がこちらを見た。目線が絡まる。
皇「雪はなんでわかったんだ。俺隠すの得意だよ。表情に出にくいみたいでね。」
雪「…確信はなかったです。でも、たまに悲しい顔してました。初めは涙なのか帝先輩なのか、わからなかったんですが…涙の家でわかりました。」
ふっと目線がそれた。
皇「部活でいつも明るくて、ちょこまか動いてて、先輩にも馴れ馴れしくしてくるような奴だった。鬱陶しく思ってたのに、ついつい目が追いかけてて、その表情に目が離せなくなった。」
僕は黙って聞いていた。
皇「あぁ、俺はこいつが好きなんだと自覚した。まぁ、今まで女としか付き合ってないけど、男子校だから色々あるしな。ずっと見てるとやっぱり気づくもんだよ。帝にだけ態度とか表情が違うんだ。嫌そうだけど、目が追ってたり、見たことない表情だったり、言葉が乱れたり、それは帝にだけだった。」
うん、それは僕も知ってる。涙は強がっているけど、根は素直だ。でも、帝先輩だけには天の邪鬼だった。構ってほしそうだった。
皇「帝も好きだろうって、すぐに気づいた。その時は悩んだよ。両想いかもしれないと知っていたから。俺は邪魔だろうなと。でも、諦められなくてな。」
皇先輩の視線があがる。目があった。
皇「今日で終わりだ。帝も俺の気持ちに気づいてたから、さっき謝ってくれたんだ。そんな話したことなかったのに。これでやっと終わる…。」
やっぱり悲しそうな顔してた。
雪「まだ、整理できてないでしょう。今日で終わりにしなくてもいいんですよ。涙を好きだった自分が納得するまでは、好きでいてもいいんじゃないですか?まだ、好きなんでしょう。」
だから、そんな顔してるんでしょ。
僕相手に気を遣うことないよ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
15 / 393