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黙って聞いていた皇先輩は少し目を細めた。
それから柔らかく微笑む。
皇「そうだな…。まだ好きだ。ありがとう、雪。俺は大丈夫だから、泣くなよ。」
そっと、目元に指が伸びてきて、すっと撫でられる。そこには水滴があって、泣いていることに気づいた。
雪「ごめんなさい!」
慌てて鞄からハンカチを取って、目元にあてる。
隅っこの席で良かった。
皇先輩はそのまま頭を撫でてくれていた。
皇「ありがとう。」
あの悲しそうな顔が見てられなかった。そんな顔しているのに泣かない先輩が切なかった。
本当に優しい、優しい人。
それから僕が落ち着くまで、先輩とカフェにいた。
帰りは家まで送ってくれた。
雪「あの、今日はごめんなさい。その…余計なことして、それに…泣いてしまって。ご迷惑をかけました。」
バッと頭を下げた。
頭にポンポンと温かい感触。
皇「こっちこそありがとな。少しスッキリした。雪が代わりに泣いてくれたからかな。」
柔らかく微笑む先輩がいた。
皇「じゃあ、俺は帰るから。またな。」
雪「はい、今日はありがとうございました。」
振り向きながら、手を降って帰っていった。
夕飯を食べて、部屋に戻る。
ベッドに腰掛け、ぼーっとする。
昨日から忙しかったな。なんか色々あった。
涙は大丈夫だったかな。今連絡するのもなー。
帝先輩はまだ涙の家にいるのだろうか。
皇先輩はちゃんと家に帰れたかな。
皇先輩には余計なことをしてしまったかも。
ほっとくのが優しさだったかなー。
一人になるとついつい色んなことを考えてしまう。
みんなの視線の先を見ていた、僕。
向かい合っていたり、一方通行だったり。
僕は見てるだけ。
では、僕の視線の先はどこなんだろう。
涙や帝先輩みたいに向かい合っているといいな。
いつかそんな人に会えるのだろうか。
皇先輩にも向かい合える相手ができるのだろうか。
もやもやした気持ちを抱えて、そのまま眠りについた。
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