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無心でミシンをガタガタやっていたら、ポンと肩を叩かれる。
雪「あれ、実くん?」
実「お疲れ。まだ残ってたの?」
時間を確認すると20時前。
最後に帰った子は、19時ごろだっけ。
雪「キリがいいとこまで、と思ってたら夢中になっちゃって。」
実「ははっ、雪っぽい。俺と一緒に帰らない?」
雪「あ、でも涙が迎えに来るって。一緒でもいいなら…。」
実「てことは帝先輩達も一緒?」
雪「多分。」
実「皇先輩も?」
雪「多分?家が帝先輩と同じ方向だから。」
実くんは顎に手をあてて、上を向きながら考えてる。
実「うーん、今日は遠慮しとこうかな。皇帝と歩くなんて緊張するし。」
雪「皇帝…?」
実「あれ、知らないの?あの2人の名前から文字って、2人そろうと皇帝って呼ばれてるよ?」
知らなかった。
実「それに一緒に帰りたいのは雪だから、また今度の機会にするよ。」
にっこり笑って言われる。
雪「え、僕なんかでいいの?」
実「なんかとはなんだ。俺は雪とがいい。」
雪「えと、ありがとう。また今度一緒に帰ろうね。」
嬉しいな。本当に実くんは優しい。
僕なんかと一緒に帰りたいなんて、涙や先輩達ぐらいかなーと思った。他の友達は方向が違うから。
実くんが僕の頬をすっと撫で、またにっと笑う。
なんかさっきの笑いと違う。なんだろう。
実「じゃ、またな。ミシンも程々にしとけよー。」
頬から離れた手を振って帰っていった。
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